2012年12月27日木曜日

The BirthdayツアーVISION@日本武道館.ライブレポート

の座った1階南席はまさにステージどまん前でした。そこから見えるアリーナ席の人々の姿――豹柄、豹柄、ツアーTシャツ、黒、黒、黒、コート着たまま、グレー、ツアーTシャツ、ツアーTシャツ、ボーダー、黒――を眺めつつ、武道館の高い天井付近でゆっくりとたゆたう白い大気と、「携帯電話のカメラなども使用できません」という拡声器の声に包まれながら、じっと開演を待っていました。

 The Birthday、5年ぶりの武道館公演。5年前のことを知らない僕は、メンバーのヒライハルキが書くコラムによってしか、そのときの悔しさや無念さを推し量ることができません。
 しかし、ここに座る僕たちは、特に今ツアーを一度でも観た人間ならば、そんな彼の気持ちに笑いながら肩をバシリと叩いて言ってやりたくなるのでした。今度は最高に決まってるだろ――そうでなければ、僕が隣の席の小父さんににっこりと微笑まれるサーヴィスを受けたり、彼に返したつもりの笑顔が、別の女の子に伝わって笑い返されたりする、なんていうことが起きるわけがないのでした。


The Birthday TOUR 2012 "VISION" FINAL
@日本武道館 2012年12月19日















う確信しながらも客電が落ちたときのあの熱狂と歓喜――沸騰したお湯が吹きこぼれるかのように、ほとんどすべての観客が椅子を捨てて立ち上がった瞬間――には驚かされ、一方で、この興奮は最後まで決して冷めるはずなどない。という強い予感を抱きながら、1曲目の[黒いレイディー]が早くも伝える演奏の良さ・耳から入って心臓を叩きのめす爆音の快感を余すところなく浴び、特にフジイケンジのギターソロのアレンジや音に「うわー」とか「あー」とかそんな歓喜を口からこぼし続けて、気付いたら5曲目の[Riot Night Serenade]まで来ていました。


 ニルヴァーナの再結成が話題になるとか、レッド・ツェッペリンのライブ盤が飛ぶように売れるだとか、ロックの世界が「老いてますます壮んなるべし。」という諺を体現しはじめて久しいですが(同じ構造をもつ世界はアニメ界ですね。10年後でもエヴァはぶっちぎりで劇場動員数を出すでしょうし、『風の谷のナウシカ』と現代社会の結びつき。なんていう論文が新しく上梓されるかもしれません。)そのなかでThe Birthdayの「若さ」は、ずいぶん特異なもののように感じられます。
 ツアー2ヶ所目の清水SOUND SHOWER arc.で僕が観た『VISION』収録曲の演奏は確かに荒っぽかったのです。しかし、2ヵ月半という時間をかけて成熟したそれらは、武道館でめいっぱい僕らを爆発させました。そんな少年たちの夏のような・歯車ががちりがちりと組みあがっていくような「成長」という若さの特権を、いかんなく発揮する彼らの年齢をはたと思い出して、[KICKING YOU]の途中、僕は少し笑ってしまうのでした。
 なにより、結成当初、チバユウスケ・クハラカズユキという「元Thee Michelle Gun Elephant」なんて肩書きのついたメンバーのなかに放り込まれ、「大人」にならざるを得なかったヒライハルキが、ようやく本当に最年少らしく振舞って、無我夢中に演奏する姿に、ほらねちゃんと最高じゃんか。とウインクを投げてまた踊り、踊り、踊りながらやっぱり笑うしかありません。


 1階南席は、張り出した2階席の天井に音が反響してしまい、高音の聴こえかたがやや辛かったのですが([ホロスコープ]のギターソロに、なぜかグレッチを被せて高音を全部台無しにしてくれたチバユウスケを一瞬ぶん殴ってやろうか。と考え(笑)そのあとすぐに「おお、そうだよな、テンション上がっちゃうよな、あんなにカッコいいギターが隣にいたら。」と思い直して、心の中でがっちり握手しました。)それでもなお美しい[SHINE]~[爪痕]、もちろんあの場にいた全員があのたった一人のことを考えながらチバの声に目を向けていました。静寂――と言っても過言ではない呼吸だけの観客席、武道館の天井にくっついた小さな小さな照明が星座のようです。
 しかしてそこから始まる[Red Eye]の艶かしさ、メンバー同士が熱く互いを見据えるこの曲をきっかけに、さらに気持ちよくなっていく4人のグルーブでくらくらしていたら、[なぜか今日は]で突然の銀紙特効……フジイケンジのあのギターの音を背景にばあっと広がった光。に無数の手が突き上げられて、「やっぱりこれは夢なんだな。」と思わずにはいられませんでした。でも、「サンデイ・新宿網タイツ…」と続く音は現実そのものです。

 最高の時間、[さよなら最終兵器]のチバの熱唱に泣かされた僕は、流れるものはそのままにただただ拍手を送っていました。
 僕は本当に前の武道館のことを知りません。ただ後日、この日の武道館のことをハルキコラムが喜びでいっぱいの言葉で飾ってくれたのを見たとき、僕は浅草橋を通過する地下鉄の中、つり革につかまりながらうっとりとあの日の愛しい耳鳴りが治まってしまったことを嘆くのでした。


[SET LIST]

01. 黒いレイディー
02. ゲリラ
03. Buddy
04. ROKA
05. Riot Night Serenade
06. KICKING YOU
07. ホロスコープ
08. YUYAKE
09. SHINE
10. 爪痕
11. Red Eye
12. LOOSE MEN
13. PINK PANTHER
14. SPACIA
15. LOVE SICK BABY LOVE SICK

16. カレンダーガール
17. OUTLAW Ⅱ
18. なぜか今日は
19. さよなら最終兵器
20. BECAUSE

encore1.
01. STORM
02. 涙がこぼれそう

encore2
01. 泥棒サンタ天国
02. ローリン

encore3
01. READY STEADY GO

 チバの「ニッポンブドーカン!(キュウちゃんが何かを突っ込む。のを遮ってもう一回)ニッポンブドーカン!!」というMCに、ただただ返される歓声。あふれる喜びは、アンコールでステージに帰ってきたときの彼の満面の笑顔と「いいねえ」という言葉にもはっきりと表れていました。(大原康生)

The BirthdayツアーVISION@清水SOUND SHOWER arc.レポートはこちら

2012年12月19日水曜日

THE INRUN PUBLICS.PUBLIC CORE.レビュー

THE INRUN PUBLICS - PUBLIC CORE〈歴史は何度だってロックンロールを生む〉


―うわー先輩、そのバンドなんすかあー、名前、ヤバいっすね(笑)

ヤバいよ(笑)久々に親に聴いてることを知られたくないバンドが出てきちゃったって感じ。まいっちゃうよな、歌詞カードにどでかくまっピンクで印刷してあるんだもん。「淫乱」って(笑)見つかったらどうすんだよお(笑)でも全体の印象は、淫乱ってよりか騒乱・動乱・混乱、きったねえライブハウス、つかねえライター、飲みかけのアルコール、一人称が「あたし」のばかな女、つまんない今日、つまんないことを吼えるしかない男。っていう、まさにロックンロール。箸休めもなく、全曲全員フルパワー音を出し続けるっていう構成にシビれた。

―それは……ロックすね(笑)

そーね(笑) しかしびっくりしたよ、事前にツイッターとかレビューを読んで買いにいったんだけど、「初期ミッシェルのような」って書いてあったんだよな。もうそれだけで敵意をむき出しにするロックファンが何人もいると思うんだけど(笑)で、ミッシェルって安直なイメージとしてやっぱりイギリスっていうのがあるじゃん? 特に初期の… [ロシアン・ハスキー]とかさ、英語詞にしたとしてまったく違和感ないし。それはミッシェルの4人の聴いてきた音楽とか好きな映画のイメージの表出だっていうのはもちろん、彼らの出身地が北海道・神奈川・広島ってばらばらなとこが大きいと思うんだよね。ひとつの故郷にしばられないから、思いっきりイギリスによれるっていう。

―うんうん。


だからそういう「ザ・UK」ミッシェルを想像して聴いたらさ、全然違うんだよ。もーすっげえ、インラン・パブリックスはがっつり「ニホン」なんだよ。しかも2000年~現在までの日本。まず曲のタイトルが[リアルワールドコンプレックス][踊るメディア]だぜ? なんつーか、現実世界≒リア充からの疎外感とか、メディアに対する不信とかを歌うのは昔からあるけどさ、タイトルの言葉の選び方がすげえ今っぽい。あと、オタク…までいかないかもしんないけど、ゲームとかアニメ好きなんじゃねえかな? [プレイステーション]って曲あるし、なんせ[ビューティフルドリーマー](笑)だからね。ラムちゃんかよっ押井守かよっつう(笑)

ーなんすかあ、それ。

そういうアニメがあったの。伝説の高橋留美子ブチ切れ『うる星やつら』劇場版ね。まあ、本当にそのオマージュかどうかはわかんないけど。歌詞も別にラムちゃんに寄せてないし。
それで、すごい「ニホン」ぽいっていうのは、やっぱり彼ら全員の出身地が長野だってところにあると思うんだよな。メロディーの流れもそうだし、感じさせる情景の日本っぽさ、なんていうの、ちょっと枯れた感じのさ、地方都市みたいな・・・金髪碧眼はひとりもいねえなって感じの(笑)。爆音でぶっ飛ばしながらも、なんか土地に染み付いている匂いがしてくるんだよ。

―オレ、地方出身なんでちょっとわかります。ちっちゃいんすよ、駅前のロータリーが(笑)で、ちょっと自転車で行くと田んぼあってー。コンビニがポプラですもん。めっちゃいやでしたよ、東京いきてえーって思ってました。

そういうのが、孤独感とか、空腹感とか、どうしようもない衝動とかになってんのかもしんない。「毎日毎晩 喉から手が出る音 メリメリ音を立てる」だもん。あ、歌詞はね、ストレートで、くどくもなく悪ぶってる感じでもなく、ただただ「オレ」っていうとこがいい。ちょっと淫乱だし(笑)「インストールするおまえの穴 ダウンロードする俺の穴から」ってね(笑)それをちょっとかすれた感じの声でシャウトしっぱなし。っていう気持ちよさ。やっぱ聴いて一発で煙草も酒も半端なくやるんだろうなって分かるボーカルはいいよね(笑)

―(笑) 演奏はどんなっすか?

だから、騒乱・動乱・混乱だよ。大音量で聴きたい・ライブ行きたい。で、もみくちゃになってさ、やべえ死ぬ。って思いたい。特に[未完了パラサイト]とかね、ギターの進行の快感ぶりに……くらくらする、やっぱりコピーしたいって思わせるギターのいるバンドに外れはない。
まあ、とにかくカッコいいよ。ミッシェルとの共通点があるとすればそこだね。ぐっちゃぐちゃにしたい・されたいっていうカッコよさ。アブなくて、寂しくて、デカい音で…いとおしいんだよ。


THE INRUN PUBLICS / PUBLIC CORE

2012年12月5日発売.定価2,300円(税込み)
1. リアルワールドコンプレックス 2. 踊るメディア 
3. プレイステーション
4. ビューティフルドリーマー 5. enn 6. ロザリーロザリー
7. ハイウェイガール 8. JET LOVE DOLL 9. 未完了パラサイト
10. ダンスオンリアシート 11. お前の部屋 12. カルチャー 
13. 心の解放
発売記念特設サイト http://www.pizzaofdeath.com/inrun/public-core/

(中山裕子)

2012年11月19日月曜日

ZAZEN BOYS.TOUR MATSURI SESSION 2012@HEAVEN'S ROCK 熊谷.11月11日(日).レポート

窓の向こうに目を遣ると、真っ黒なつめたさ。夜の地雨。上着一枚じゃ軽装だったな。と、組んだ腕をさらに強く組んでみるが、何も変わらない。当たり前だ。きっと3時間後も愚直に降り続けているであろう雨は、すぐ後ろに冬の到来を控えている。そっと吐いた息がガラスに白く吸着してこごった。気の早い家なら炬燵を出しているかもしれない。

 こんなふうに突然現れる秋の終わりの日。そんな日は、頭の中で[Tombo the electric bloodred]が大きな音を鳴らす。

 [Tombo the electric bloodred]――売春婦とその街の夕方を歌ったこの曲を演奏したNUMBER GIRLが、いったいどんなバンドで、わたしが彼らにどんな思いを抱いているか、言えることは驚くほど少ないうえに、難しい。「最高だった」とか「再結成してほしい」とか、そんな言葉を当てはめてみても、しっくりこない。かわりに浮かんでくる向井秀徳の顔が、ぐしゃっとゆがんだ。と思った次の瞬間、「バリヤバイ」と叫んで消えていくだけ。

 そんなまとまらない愛情をかかえながら、ZAZEN BOYSのツアー「TOUR MATSURI SESSION 2012」熊谷公演に向かう。思ったより距離のあったつめたい道中に、ひたすら[Tombo ~ ]をリピートして、東京から離れる気分を深めていく。


ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2012
@HEAVEN'S ROCK 熊谷



 と、センチメンタル過剰な小難しい顔を浮かべて開演を待っていた私だったが、1曲目の[RIFF MAN]が始まってすぐ「あっ」と顔を赤らめた。


HEAVEN'S ROCK 熊谷 入り口にて
 吉兼聡、吉田一郎、柔道二段・松下敦、そして、向井秀徳。9月に4年ぶりのニューアルバム『すとーりーず』を出し、新宿タワレコで「最高傑作」と喧伝され、たぶんロキノンもそんなようなコピーを書いて(読んでなくても分かる。絶対書いてる(笑) いや、真面目に書かざるを得ないのだけれど。)、実際その言葉通り「最高」の絶頂をリピートするたびに与えてくれたバンドが彼らである。そのバンドのライブに、果たして道すがら思ったような、哲学や文学の気持ちは意味を成すのか。成さない。成さないどころか、ちょっと場違いですらある。「踊ろう」なんて言葉はないけれど、そうするしかないリズムの横溢。難しいことはひとつも必要ないのだ。

 会場のセッティングこそ微妙だったものの(客席とステージがほぼ同じ高さ&ボーカルの抜けがなんとなく悪い。)アルバム音源とは趣向を変えて仕掛けたっぷりに演奏される楽曲に、「もう、あたしってばバカ」とさっきまでのつめたい気持ちを振り払って踊り狂う。


 
 [サイボーグのおばけ]でのパンツ・セッション(と命名するしかないくらい、パンツパンツパンツの連呼。さらに進んで、レースクイーンのハイレグ。から覗く陰毛。なんて言葉まで吉兼聡ことカシオメンのテレキャスになぞらせて、満足そうな笑みを浮かべる向井を、どのフェティシズムに分類すべきか?というのは、結構な難題だと思う。)にしても、[Maboroshi In My Blood]での各ソロパートのアレンジにしても、観客とのコール&レスポンスにしても、とにかく演奏のヴァリエーションが山ほどあるということが、今日ここに来た意味というのを深く思い知らせてくれる。

 それだけではなく(演奏を音源と変える。というのは、割合どのバンドでもやるし出来ることであろうから。)向井の放つ殺気だけを頼りに、他の三人が一斉に音を出す→止めるという「次いつ音が鳴るのか分からない」緊張感がZAZENをZAZENたらしめ、同時に観客の呼吸を止め、ああダメもうそろそろ誰か弾き損ねちゃうかも窒息しそう。というところで丁度来る4人の音の爆発が、一気に開放からの興奮へ持っていくという、まるで菊地成孔的な(ということは、同時にマイルス的なと言えると思うし、実際向井がクイックジャパンでDCPRGやジャズについて言及していると思ったのだけれど、載っていなかった。夢かしら? でも、[サイボーグのおばけ]で「農林水産大臣、マイルス・デイヴィス」と歌っているし、今回のライブでも「ジョン・コルトレーン」と台詞に挟み込んでいたし、そう遠くはないと思うのだけど。)ライブ展開によってもたらされる快感のすごさは、やっぱりYoutubeでは味わえない。


 話を熊谷に戻そう。
 MCで、とある観客の「向井、砂漠やって、砂漠!」という思わず背筋の凍る(笑)掛け声に対し、向井秀徳、「あの~、昔、高校生のとき、エレファントカシマシのライブをホールに観に行ってですね。女性のお客さんがひとり、何々やってー!と歓声をあげたら、宮本さんが「個人的に話しかけないように」と言ってですね、わたしは、こっええーと思って小さくなって椅子に座っていました。(ここで微妙な間。不安になる観客。)……でも、今日は個人的に話しかけてもらってかまいません。返すかどうかはわかりませんが。」と、ああ、ありがとうナイスアンサー。もう、徹底して楽しい。
 もちろん、『すとーりーず』の中には、かつてのNUMBER GIRLのときのようなエモーショナルな歌も入っていて、それを生で聴いてしまえば、ぐっと胸を押されたような泣きたい気持ちになる。そして、その感情の起伏さえおそろしくハッピーだ。


 いつから彼はこんなに開けたエンターテイナーになったのだろう。この幸福感が、彼の計算にしろ、あの場の偶然にしろ、消えることはない。
 アンコール、向井秀徳が指揮するメンバーのアカペラショーからの[Asobi]という流れにあった、かつて彼が抱えていたであろう怒りやよどみをまったく感じさせない清清しいユーモア&クールさに、あふれんばかりの愛を感じる。その愛の矛先は、全ての音楽であり、メンバーであり、我々観客であり、世界であろう。そして、彼もまたそれらから愛されている。素晴らしい平和の一夜。

 2012年12月20日SHIBUYA-AXで追加公演。



[SET LIST]

※曲順はばらばらです。やったものだけ。(しかも、ちと記憶があやしい。)
RIFF MAN/SUGAR MAN/Maboroshi in My Blood/COLD BEAT/Honnoji/Weekend/The Drifting/HIMITSU CIRL'S TOP SECRET/すとーりーず全曲/encore,Asobi


BGM

①PSY - GANGNAM STYLE(バークリー出身っていう驚き)
②DCPRG - PLAYMATE AT HANOI(やっばい。冷凍都市も最高な一方、熱帯もやっぱり捨て難い。)

2012年11月11日日曜日

ジャズドミュニュスターズ@新宿ピットイン.11月6日(火).レポートと雑記

本のアルトサックス。が、それぞれ絡み合いながら無視しあいながら嬌声をあげる。カジュアルシャツにハットの菊地成孔、フォーマルスーツ・黒タイ・黒縁メガネの大谷能生。全く似ていない双子のような二人の奏者と、機材・楽譜の溢れた机上、さらに後ろにグランドピアノを擁した、新宿ピットインのステージから流れる耽美なサックスを受けて、わたしたちは悩んでいた。踊るべきか、否か。今から聴くものはいったい何なのか。欲望が多様化・細分化され、ユニクロがドンキホーテがセブンイレブンが、ほぼすべてのニーズに応えてくれる今の日本で、不安。少しの恐れ。そしてときめきをもって、未知なる音楽を聴くことが出来るなんて、わたしたちはどう反応していいか分からなかった。だって、まだそれについての教科書はアマゾンで売ってないんだもん。




2012年11月6日菊地成孔3デイズ2日目

ジャズドミュニュスターズ・デビュー公演@新宿ピットイン




ピットインの写真がなかっ
たので(笑)歌舞伎町の
スパのトイレの写真。
 「たぶん、踊ってたほうが楽ですよ。」これ、ヒップホップかどうかもわかんないし。と冒頭で微笑んだ二人、再構成されたDCPRGの[Catch 22](兎眠りおんa.k.a.初音ミクのパートがとにかく最高。再録なのか、その場で元音源にエフェクトをかけていたのか、素人にはちょっと分かりかねたものの、とにかくCD版よりケイオス! 高度1万メートルからカタコンベまでをカヴァーするぐらんぐらん具合。)でわたしたちをいったんは欺き、「ああ、この路線ね。じゃあ全然ヒップホップじゃん。踊れるじゃん。」とほっと緊張を解かせたそのあと、シームレスに始まった「朗読」――ほんとうに、片手に小説を持って。――が、再び同じ苦悩に突き落とす。お、踊って、いいの? これは、な、な、なんなの? とりあえず、思うしかない。「大谷能生の声、サイコー。」

 「ブルックリン第4地区で生まれた僕は……」と静かに語る美声に、二人の手元で切り貼りされる音の断片がかぶさって重層的にノイジー。でありつつ、やっぱりダンサブル。そして、たまに混じるスクラッチが、唯一われわれの知るヒップホップ。
 踊りたい、踊れない。身体が動いてしまうわたしと、凝視するしかないわたしと、フロアはぽつぽつと分かれ始める。(なかには、驚くべきことにあのわずかな明かりの下で読書を始める人がいた(笑)しかも参考書(笑)も~どれだけ賢くなるつもりなのか、この音の中。)DCPRGやペペ・トルメント・アスカラールとは違って徐々にアガっていく構成ではなく、難解さと踊りやすさが交互にやってくる展開は、ふだんならチャンプルー→興奮。なんだけど、今回はなぜか最後まで2分割された観客のままだった。(いや、答えは分かってる、勉強好きな人間ばっかりだったのだきっと(笑))でも、わたしの身体のなかは、熱い。



 ジャズ・ドミュニュスターズ。観念的・実験的というコロモをかぶったダンス・ミュージック・しかもヒップホップで全身を痺れさせた(まず背骨。次に頭部。あと足ね(笑))二人の男は、自分達も、観客も、音楽も、何もかもをこの晩ふたつに分けてしまうという「フロイト的」な力。「次はクラブでやりましょうね。そしたら踊れますからね(笑)」という菊地さんの言葉にそのさらなる快感を期待。
 



***



 う、なんか泣き出したくなるような1週間は、とても穏やかで、疲れていて、旧い友人と会って、投げ出したくって、愛読書はずっと『スペインの宇宙食』――しかも神経症発症直前の40日間の食べ物のことをとにかく詳細につづった日記の部分だけ。わっかりやっすいなあ、もう(笑)――を繰り返し繰り返し地下鉄のなかで読んで、ああ、もう、限界だったのでした。

 旧い友人たちと会ったのは、大手町でした。丸の内アオゾの横に走るガード下で楽しい鍋をいただく。モツだったかな。よく覚えていません。

 わたしは、本当に友人に恵まれていて、それだけは才能だなあと感じていますが、この晩も、素敵な思い出話と下世話な話がいい塩梅で焚き込まれており、安心してハイボール。ん? サワーだったかな。よく覚えていません。

 泣きたいときはたぶん映画が効くんですよね。映画じゃなくとも、とにかくストーリーのあるものじゃないといけない。勝手に涙が出てくるときはね、それは誰かに自分の話をしたほうがいい。でも、結局一回も泣いてないな、この秋は。

2012年10月15日月曜日

MO'SOME TONEBENDER.S.U.C.Kツアーファイナル@恵比寿リキッドルーム.ライブレポート

(MC by藤田勇)「モーサムトーンベンダーのライブを楽しむための10カ条。その1、ブチ切れる。その2、ブチ切れる。その3、ブチ切れる。その4、ブチ切れる。その5、ブチ切れる。その6、ブチ切れる。その7、ブチ切れる。その8、ブチ切れる。その9、ブチ切れる。その10、ブチ切れる。」からの轟音。を、聴いたとき、どんなに素晴らしくって大好きなバンドがあったとして、まったく冷え切ったままのライブもある。だって生モノなのだから、人間なのだから。しかして、今日はどうだ。「絶対に」大丈夫だ。わたしと、わたしと共にリキッドを埋める観客と、彼ら――モーサムトーンベンダーの目指すべきテンション・体温・疲労、つまり目的が完全に一致しているのだから。と確信する。10月も半ばにさしかかろうとする土曜日、まず間違いなくこのフロアーが東京でもっともホットになるに違いない。1曲目~2曲目ですでに踊られるダンスの烈しさがその証明だ。


リキッドの写真撮るのを
すっかり忘れていました。
 とか、なんとかかんとかバラライカ、[DOOR]から[YOUNG LUST]としょっぱなから飛ばす混沌に、みんな笑顔で頭を振り乱していたら、4曲目あたりでいきなし演奏がストップ。「(百々)機械は人間よりも弱いからなあ。」つまり、あの(笑)、藤田勇のギタートラブル発生(笑)。「(武井さん)ツアーの疲れがギターにも出てたようです。」「(客)たけいさんはあーーー?!」「(武井さん)・・・・・・え?俺?(微笑)」すぐに機材が交換されるも鳴らない音。しばしの無音でゆっくりと空気を冷やしていくかに見えたフロアー、しかしそれを見事な"武井節"がかきまわしていく。
 「(武井さん)ツアーではいろいろなところをね、まわらせてもらいましたけどね。……だいぶお客さんが少ないところもあったような・・・」「(客・爆笑)」「(百々)……」「(藤田)……(一生懸命)」しかしその軽妙洒脱(笑)なトーク力を持ってしても、なかなか終わりの見えない調整に、だんだんと沈黙は延びてゆき、彼の額には冷や汗と思しき液体が浮かびあがっていきました。けれどもすでに述べたとおり、目的を同じくしたわれわれは、その間延びに逆に危うい期待と興奮を高めていきました。助走がなくては高く跳べない。オードブルがなくてはフルコースとは言えない。痛快さはいつも遅れてやってくる、だから自殺なんかしちゃあもったいないんだよ、若者達よ。やっとの調整を経て演奏再開した後の恵比寿リキッドルームの熱狂は、単純にして明快、ただただ踊り尽くそうという気概だけが支える、まさに爆発でありました。


 彼らのすごいのは、そんな凶器とも狂喜ともいえる爆音の沙汰にも関わらず、どの音もちゃんとCDどおりに分離して耳に届く、というところでありまして、だからこそ[Beach Side Moon]のような楽曲もたいへん美しく、そして聴衆の動きがやむこともなく、ダンスミュージックとして成立しちゃうわけですね。一部の男子からは「えー!」という声も聞こえましたが(笑)、あの「武井オペラ」は激ヤバ!!熱気があるぶん、武井さんの声が伸びまくって、もー揺れること揺れること!
いったことのある人ならば
わかるであろう、
ホールの前面鏡。
  しかし、多くのひとにとって一番ヤバかったのはやっぱり[ElectBoys]でしょう。事前情報をまったくいれずにいったので、まさかカラフルなサイリウム群が一気に頭上に振りかざされるとは思わず(開演前、サイリウムを手売りするお姉さんを横目に「ちっ、声優イベントかよ、Aice5だったら誰がなんと言おうと緑を買ってたよ、おりゃあよ、だけど今日はモーサムだぜえ? 百々は赤だな。買わないけど。」という実に男らしい(笑)勘違い。リキッドでなぜ手売りしているのか考えればすぐ分かることだったのに。。)、その光の残像にくっらくらしながら、やっとここでロックバンドのライブらしく皆でガンガン飛び跳ねながら踊って、汗と共に意識も床に滴らせて、もうそこからは止まらない・止まれない。
 なぜこうもモーサムのロックは「踊れる」のか。開演前の藤田勇制作のMIX-CDは確かにエレクトロニカな色に染まっており、一方で百々の鳴らすムスタングはパンクの絶叫であり、両者の奇跡的な融合がこの結果なんだろうか、などと余計なことを考え始めた瞬間きた[Shining]のイントロのキラキラ感がくれた答えは、その歌詞どおり。「言葉もなくしちゃったよ 叫んでばっかりだよ ハロー アイラブユー」視界は電飾でいっぱいの武井さんでぐらり。


 どの曲の前で言ったかは忘れましたが、百々の「発散してる?」に示されたモーサムの意義は、すべての音楽に共通しつつ、全員がエンターテインメント性を持ちながら鋭利・めちゃくちゃでありながら失われないリズム。という点を見ると、ロック部門ではモーサムが一番じゃないのかな。というか、もしかして今日のライブは彼らのキャリアのなかで一番じゃないのかな。という感すらしてくるS.U.C.Kツアーファイナル。12月25日に再び東京に現れる(「(百々)どうせ予定ないやろ!(笑顔)」)彼らを今観に行かずにどうするのだ、踊れるロックンローラーたちよ。率直に、「こんなに」はもう来年はないかもしれません。


[SET LIST]

※某所参照。すみません覚え切れなかった。
01. DOOR
02. YOUNG LUST
03. TIGER
04. Metaluca
05. Hammmmer remix ver.
06. farewell party
07. Punks is already dead
08. Cat park
09. happy new year
10. ロッキンルーラ
11. 未来は今
12. Beach Side Moon
13. born head dandy
14. パーティは続くよ
15. Have you ever seen the stars?
16. ElectBoys
17. 24 hour fighting people
18. Lost In the City
19. hang song
20. GREEN & GOLD
21. Shining
22. Anywhere(But Here)

encore1. 
trigger happy
BIG-S

encore2.
凡人のロックンロール


 アンコールにて。
 「中年男性・額・電光掲示板」という普通なら頭をひねるような三題噺をそのままその身で、というかどんな想像も超えて体現し、客席を練り歩くベースがほかにいるかってんだ。いたら言ってくれ、そいつがモーサムの次にかっこいいバンドのベースに決まってる。

(2012年10月22日一部改訂)


BGM

①Slynk - Let's Make It Funky(後ろでワウワウいってるギター(たぶん)が最高)
②MO'SOME TONEBENDER - Strange Utopia Crazy Kitchen(言うまでもなく最高)

2012年10月10日水曜日

SNAKE ON THE BEACH.DEAR ROCKERS.レビュー

「音楽と人」がチバユウスケ・ソロプロジェクトの巻頭特集をやるにあたって、東京の夜景を背景に、キャデラック・サングラス・赤い柄シャツ・煙草・黒のジャケット。あまつさえ表紙はオールバック、というまるで2000年に戻ったかのようなビジュアルをディレクションした。だが、この作品を手にとる人ならばおそらく、Thee Michelle Gun Elephantを愛していて、アベフトシを愛していて、チバユウスケを愛しそして少し憎んでいて、それらがもう消失・変形してしまったことを了解しているだろう。このアルバムは、その「変わってしまった」チバユウスケが数年の時間をかけてひとりきりで制作したものだ。その純度の高さは、聴けばすぐに伝わってくる。彼がいかにまっすぐなのかということ。アベフトシをはじめとした相棒たちの熱がいかに彼を魅了してきたのかということ。過去にあったそれらの音を切望しても何も生まれないこと。「赤い季節を抜けて 俺達旅してる どこまでも行こうぜ(Teddy Boy)」。だから、やっぱり今月の「音楽と人」はにっこり笑って仕舞っちゃわなきゃいけない。



初回版ジャケット
 語弊をおそれずに言うのなら、わたしはこのアルバムは彼の最高のロックの体現だと思う。音がフレーズがメロディが、ということではない。中毒性の高いカッティングやうなるベースやロールしまくるレスポールを、彼一人で生み出すのは重すぎる。ただ一方、それを隣で担ってくれる相棒達と出会えたことが、彼をこの先30年は名前が残るくらいに成功させたことは間違いなく、しかしそれは同時に、とくにミッシェルとしての成功は彼のその後の人生を強く束縛したはずだ。
 チバユウスケが成功と引きかえにその身を差し出した束縛、それは無間地獄と似ている。払っても払っても降り注ぐインタビュアー、ファンの同じ疑問、同じ期待、同じ失望。そして、ひとりで生みだした今作がどういったものになるのか。彼はふたたび同じ期待を受けていたろうにも関わらず、「エレクトロニカ&アコースティック」、つまり、打ち込みのドラム・繰り返されるトラック・暗いギターやピアノの旋律の美しさ。というロックの熱を含まないものを颯爽と相棒にしてみせたのだった。
 
 だから、「最高」という言葉の意味は、成功という地獄に落ちて、もがいてもがいてもがき続けた末に手に入れた、成熟の付随する自由の精神にある。その表れのひとつが、今回はエレクトロニカであり、アコースティックであり、サウンドトラックらしい風景のつらなり、開かれたメッセージ。であるだけで、そうだ、ほんとはとっくに[ROKA]で、[さよなら最終兵器]で、彼がもう何もかもを受け入れて自由になっていたことは明らかだった。いつでも彼より何歩か後ろにいて、そこにこだわるわたしたちは、一見ロックには聞こえない楽曲に驚きながら戸惑いながら耳を澄ます。
 
 おんなじフレーズが繰り返されるだけの優しいギターの旋律は、初期衝動を求めるひとには退屈な子守唄かもしれない。一方、映画のワンシーンをこころに自然と描かせるそれは、チバの声がしなくとも、彼のやわらかいところを感じさせて、懐かしくさみしい気持ちよさ。
 ひねりのない打ち込みは、「その道に通じていない拙さならではの味。」というだけでない。深夜のトンネルを抜け続けるような単調な低音と、上にのる荒っぽいギターが、艶めいた単語を発するチバの声と溶け合うのは、偶然の産物であろうにしても、ずるい。
 どこまでも続く電車の車窓から、ところどころの景色を眺めるかのようなこのアルバムは、制作期間の長さもあいまって様々な場所、新宿を通ったり郊外を通ったり海のそばに停まったりして終わりに向かう。ただ、一貫して流れる冬の季節は、彼の制作中の気分を少なからず投影しているはずで、すこしかなしい。



ケースからはずしづらい。
 詩のうつくしさ、それは、ソロという孤独(ソロ=孤独ということではなく、彼がソロプロジェクトを始めた経緯をふまえたうえでの孤独として。)を反映するかのように研ぎ澄まされている。それまでの邦ロックの歌詞表現の一端を担っていた、一見意味の分からない言葉の羅列によって内省的世界を描く手法から一歩抜け出て、まったく押し付けがましくない大人の言がそこにある。連想される色や映像のせつなさ。彼のフォロワーは多くいるが、いまだその詩世界に匹敵するシンガーはいない。「真っ二つに割れた月が オレンジににじんでいた(Cold Man)」。エモーショナルな絶叫がなくとも、踊れる。踊りながらも、涙をたたえるそれらの言葉は、彼の人生の重みや悲しみ・個人的ななにか、そこには当然三年前のことも二年前のことも含まれ、深い愛情と叶わない愛情が横たわってわたしたちの胸を波打たせる。[19:40]の言葉のつらさ。だからこそ、アルバム終わりの[Teddy Boy]や[~Wild Children]の言葉で安心して、ふたたびThe Birthdayを聴こうと思える。クハラカズユキ・ヒライハルキ・フジイケンジによって彼があらたに可塑され、形を変え、いっそう自由になっていく姿が目に浮かぶから。それを聴けば、あまりの気持ちよさにわたしたちも自由になれるだろうから。


 一部の楽曲でイマイアキノブ(Gt. ex.ROSSO, The Birthday)(おそらく[青い熱])やフジイケンジ(Gt. ex. MY LITTLE LOVER, The Birthday)(おそらく[Teddy Boy])らも参加。そこは多少"いつものチバユウスケっぽいロック"に色づいているが、それだけを期待するのならば過去作を振り返ったほうがいい。だから、もうひとつだけ引用しよう、「HAPPY BIRTHDAY TO YOU HAPPY BIRTHDAY TO YOU 旅に出ようぜガキ共」。


***


 最後に、もし可能なら彼に質問したいことがあります。どなたか会う機会があればかわりに訊いてください(笑)。
「ラテン色の強い[Diengo][North End]などの楽曲が含まれていますが、これはやはり「ゴッドファーザー」などの映画の影響ですか? それとも近年の日本のラテン化を嗅ぎ取ったものなのでしょうか。もしくは、ラテン音楽でとくに気に入っている作品があったりするのでしょうか。」

ソロに関連して~GWFの記事は以下
赤い季節トークショー&ライブ.THE GOLDEN WET FINGERS@梅田クアトロ~ライブ編
赤い季節トークショー&ライブ.THE GOLDEN WET FINGERS@梅田クアトロ~トーク編

(2012年10月12日一部改訂。)

DCPRG@日比谷野音.10月8日.ライブレポート

「風邪薬、缶チューハイ3本、ラッキーストライク・メンソール(タール6mg、ニコチン0.5mg)」という簡易かつ安価かつ合法なドラッグを使ったために、初めての野音・初めての生DCPRGにも関わらず、全観客中メダルをもらえるくらい(金メダルはわたしの斜め前にいた吉良吉影とイヴ・サンローランを足して2で割ったみたいな、ジャケットとオールバックが痺れるほど似合うお兄ちゃんに。)踊りくるうことができました。しかも明けて今日、二日酔・疲れ共にまったくありません。これは、DCPRGの・菊地成孔というひとの・音楽の浄化性の証明でしかなく、しかし、気持ちよく、ああ、気持ちいいなあ。と語彙が全部ぶっとぶ程度には快感。


[SET LIST]

1. 殺陣
2. Playmate At Hanoi
3. Circle/Line
4. Catch 22
5. Microphone Tyson feat.SIMI LAB
6. Uncommon feat.SIMI LAB
7. 構造Ⅰ
8. Duran
encore. Mirror Balls feat.SIMI LAB

 1曲目、[殺陣]がはじまるときの凄絶なまでの緊張感。は、前座(というのが申し訳ないほどすばらしいSIMI LABとtoeのパフォーマンス。toeなんかTwitterのトレンドに入っちゃってたもんね!(笑))でいい感じに溶かされた日比谷野音の空気を一挙に戦域前線へ送り込む――これは、ペペ・トルメント・アスカラールでもそうだったので、おそらく菊地成孔のバンドの共通因子なのではないか。と思います。どの音が鳴るのか分からない、倒れそうな緊張感→リズムによる弛緩という流れが、何を意味しているのかは御本人のみぞ知る、というところでしょうが、とりあえずわたしは「恋愛」にベットしておきます。―― 菊地さんの左腕のひとふりだけが、われわれの期待を支配するまさに軍隊。類家心平のトランペットはまさに勝鬨。からの、[Playmate At Hanoi]のいきなしの熱帯夜は、十月の肌寒さを燃やして観客がめいめい思い思いのリズムで踊りだすきっかけ。そして、[Circle/Line]の大村孝佳のスーパーギターソロにメロメロにやられ、[Catch 22]での千住宗臣のドラム、が緑と白のライトに照らし出されてなんというマトリックス。と思ったあとは、いよいよSIMI LABの登場。という、完璧なセットリスト!だれだ、かんがえたの!(菊地さんです。天才なんです。)

(SIMI LABオンリー版の[Uncommon] MV) 
 
 SIMI LABは、開場前のリハでもうすでに泣きたくなるよなリズム&エモーショナルをぶちこんでいて(しかもリハ終わりに「よろしくおねがいしまーす。」の声。うわあん。)、この前々日に手に入れた彼らのファーストアルバムをうっとり聴いていたわたしは「あの美しい低音の女」マリアのラップを生で聴けるなんて~!と始まる前からトリップ。たぶん、サン・ラーのいる土星まで
 開演までのDJ(これまたすばらしい。)からそのままシームレスに突入した前座では、OMSBの10月26日発売のソロアルバムから新曲を披露、そんなOMSB、実は正社員として働いていることを暴露(笑)、ほとんど総立ちの観客の間を走りぬけたり、拍手に照れてみせたり、「今日のお客サン、愛あるよ(byマリア)」というステージで満足していたら、DCPRGがバックの[Microphone Tyson]でついに記憶が途切れ途切れになりました。あまりの気持ちよさに。だれだ、コラボをおもいついたの!(菊地さんです。天才以下略。

 本編最後の[Duran]は、菊地さんのDJさばきがやっべー(笑)、笑うしかねえー(笑)、CDと同じ、いいやそれ以上のクオリティで回されるアジテーターの演説。が、リズムと絡んではんぱねえー(笑)。と、踊りながらずっと爆笑していました。あとやっぱり大村くんのギターソロにその日何度目か分からないメロメロをくらい、もう今日のは絶対ライブ盤出して売って。うーん、そうね、さ、三万円でも頑張るかもしんない。マジ。という気分。
 そういえば、大谷能生さんが欠席でなかったら[Catch 22]で生ラップが聴けたのかなあ…(指をくわえてよだれ)と思いつつも、菊地さんが菊地さんの声をスクラッチする。という実に哲学的な姿を見ることが出来たのでそれもまた最高。




 アンコール、なにか気持ちいいものに満たされている[Mirror Balls]のピースフルな音、誰もが汗を垂らして、このライブが終わってしまうことを惜しんで、それでも笑う。数え切れぬリズムの渦潮に巻き取られ、すべての人に開かれた踊りがみちびく歓声には、もはや性差も母語もなにもありません。
 「このたいへんな緊張状態のときに…。」とMCで菊地さんがおっしゃっていましたが、アフロポリリズムとか相模原アンダーグラウンドのラッパー集団(ほとんどがミックス)とかメタルの王子さまとか東大卒のわけわからん(笑)サックス奏者とか初音ミクとか、そんなケイオスの要素をたずさえてここに来たDCPRGが、一時であろうともそれを解決することを、一番よくわかっているのはあなたでしょう。と、見つめてみても、返ってくるのは最高の余韻ばかりなり。またすぐにやってきて。どこへだって観に行くから。われわれの病は、もはやこの幸福な混乱によってしか癒せない気がするんです。

<公式による2012日比谷野音の映像>
見どころは、田中教順くんのドラムソロ時、持ち場を離れてふらふら~っと教順くんを見やすい位置に移動したのがばっちり映ってしまった千住くん。


BGM

1. Twist & Shout - Captain Funk
2. Playmate At Hanoi - Date Course Pentagon Royal Garden(Musical From Chaos収録。いわゆる一期版。)

2012年10月1日月曜日

The BirthdayツアーVISION@清水SOUND SHOWER arc.ライブレポート

バユウスケが食べ物だったら、どんな感じなんだろう。

あんまり肉料理っぽくはなく、ましてや魚料理でも、カフェで食わされるウサギのエサみたいな(cf.よしながふみ)ヘルシーなサラダでもない。「俺はロマンチスト。」って自分で言うぐらいだから、たぶん甘いもの、それも洋菓子で、ショートケーキ(クリームたっぷりに大ぶりのいちごがのっているスタンダードなもの)か、マカロン(着色料をふんだんに使ったカラフル。かつ、ちょい堅くて食べづらいもの)あたりが妥当なのかもしれません。そういえばピエール・エルメのマカロンを初めて食べたときはもうぶっ飛んだなあ、甘くてちょっと歯ごたえがあっていい匂いがして、あまつさえ可愛い。という四重苦。日本人以外にもあんな小さいものに、しかも食べ物に、あれだけの愛とフェティシズムを注げる人間がいるなんて、なんて官能。



 だいたいチバユウスケの書く詞って美味しそうな食べ物が出てこない(たぶん、彼はジブリを観ないんじゃないかと思います。一番好きな映画がゴッド・ファーザーじゃあね、ポニョは観ても怯えしかないな(笑))。たとえばアルバム「VISION」では、タンポポを食べて苦いと言うし、"彼女"はアイスクリーム食べかけで寝ちゃうし、チョコレートはキスの道具でしかありません。

 そういえば椎名林檎も食べ物に執着のない歌詞を書く人でした。彼女にとってかなりハッピーになってきたはずの東京事変でさえそうで、その"拒食症"はますます加速の一途をたどっていきました。ミュージックビデオもその症状に同調し、「新しい文明開化」では刄田綴色がジュースを吹くシーン、「空が鳴っている」でも美味しそうなブレックファストのうえに思いきり牛乳をこぼして放り出すシーンが使われています。

 いっぽうで、浅井健一なんかは「メロンソーダとチリドッグ」から始まる曲もあったりして、とっても美味しそうな食べ物を多く書いてくるので、ロック全体が拒食症というわけではなく、やっぱりこれは名古屋が食の街だからなのか、でも福岡だってうっまいものたくさんあるじゃんねえ。まあ、神奈川は…(笑)、ないね(笑)。だから食べ物への愛情というものは、個人の欲の資質によるところが大きいのでしょう。



 という話をはじめたのも、先日観たThe Birthdayのライブの熱量・カロリーがものすごく、演者はいったいどういうものを食べてここに立ってこんな演奏をしているんだろう、と思ったからなのです。いや、酒でしょ。ってそりゃあそうだろうけれど(笑)、それはロックだからドラッグみたいなものだろうし、いまやただの水分補給になっている可能性すらあるわけで、あんまり空想の余地がありません。

 かくいう自分も、その日は缶チューハイ(なんだか異常に甘かった。商品名は忘れてしまったのですが、あれは…子どもが飲んじゃうよ。ポテトチップスといっしょに。)とオレンジゼリーを半分食べただけで会場にいました。

清水は空が高くて広い。
あと人が少ない(笑)。
水SOUND SHOWER arc。静岡県は清水駅から徒歩で15分、20分くらい。会場にたどり着くまでにいろいろあったのだけれど、それはまたの機会にするとして、ミラーボールの沈黙するステージは思ったよりも狭く、そして近く、フジイさん側にいたわたしは鈍く光る黒いレスポールの傷までもがわかることに、開演前なのにも関わらず、すでに参りかけていました。

 始まったら、どれだけ近くで見ることになるのだろう、そんな期待とともに19時をわずかに過ぎたころ、メンバーが登場。フジイさんの髪と、その白いシャツがライトに照らされて発光する様子は、こんなに近いのにややもすると非現実的で、これは超高解像度の巨大なスクリーンに映し出された映像なのではないか。と頼りなげな気分を生み、それはチバユウスケの細い身体を見るとさらに強まって、ただ一方でおさえきれぬ興奮。
 そして演奏が始まれば間違いなくその音はCDではなく、生。で、目の前にいるのかどうかはいたってどうでもよく、すばらしい[SPACIA]にやられる。

 内容自体は、まだツアー二箇所目、ということもあって、フェスではやらなかった[PINK PANTHER]や[黒いレイディー]なんかはまだまだ面白くなるはず、という感じ。[LOOSE MEN]のギターソロはCDよりもさらに荒ぶっていて、煽りも含めてサイコー!でしたが、やはり「I'M JUST A DOG」からの楽曲の、がちっと4人が噛み合っている音がたまらなくいとおしい。

住宅街のスナックなど
しかし、[さよなら最終兵器]はさすが、本編最後の演奏だったけれども、客のノリも完璧。もちろん演奏も完璧。ということでたいへん気持ちよくアンコールへ突入。からの、Red Eyeはうわさにたがわぬ色気で、やっぱり生はこういうのっしょー。と、フェスに行ってもなかなか味わえない即興感&緊張感を堪能しました。チバ対フジイという構図、ジャジーかつ攻撃的な色合いに、たまらない気持ちになる。
そして、ギターソロやベースソロの際、メンバーを指で示すチバユウスケのどうよ?という満足げな様子に、ああ、そりゃやべえよ、あったりめーだろ、これを聴きにきてるんだよオマエ(笑)。とはとても言えないので、歓声で返しました。いや、次会うのが武道館なんてね、遠いなあ。でも、熟成されてるんでしょう。あと2ヶ月半。

 MC。チバ「こだまっていいよね」(客)「イェーイ」 チバ「こmkd…、こ、こだまで来たんだけどさ(笑)」がハイライト。最初、こだま。が、こども。に聞こえて、つまり、「こだまで/きた」が「こども/できた」という、「ここではきものをぬいでください」的なトリックに引っかかり、言葉にならないおどろき。というのをとくと味わいました。2秒後すぐ気付きましたが。(キュウちゃん「こだまは途中でいっぱい抜かれるんだよね~」)
あとはアンコール1曲目かな?「まだやるもん」という、文字にするとすごい(笑)、せりふを投げかけたチバユウスケ(44)は、やっぱり愛されてるなあー、これ、まえだあっちゃん(21)が言ってみ?おんなじ誕生日なのにえらい違いだぜベイビー。



[SET LIST]※途中かなり怪しい。

01. SPACIA
02. LOVE SICK BABY LOVE SICK
03. ROKA 
04. Buddy
05. Riot Night Serenade
06. LOOSE MEN
07. 愛でぬりつぶせ
08. PINK PANTHER
09. SHINE
10. 爪痕
11.泥棒サンタ天国
12.YUYAKE
13.KICKING YOU
14.黒いレイディー
15.ゲリラ
16.涙がこぼれそう
17.BECAUSE
18.STORM
19.なぜか今日は
20.さよなら最終兵器

encore.
01.Red Eye
02.READY STEADY GO

encore 2
01.ローリン

 帰りの新幹線、ぜんぜん美味しくない駅弁を(びっくりするぐらい美味しくない。美味しくなさが突き抜けていて、思わず「やっべー、このタイミングでこれかよ。サイコー(笑)」と興奮してしまった)平らげながら、ライブの熱を噛み締めて、東京へと向かいました。願わくばもう一回、武道館の前にライブハウスで観たいですね。

2012年9月26日水曜日

moe and ghosts.幽霊たち.レビュー

界のリズムと少しだけ隔絶してしまった思春期のあの気分は、たとえば夕陽の美しさに涙する安易な気分。に、とても似ていて、しかし大人になるとたったその数秒でしか世界と離れられないのは、こわい。たぶん、今後すばらしい芸術は福島から生まれることでしょう。世界とのいとおしいまでの断絶、それはこじらせてしまえばメンヘラ。とか痛いコ。とか中二病。とかそれ自体甘い甘い言葉でやっつけられてしまいます。でも、サリンジャーだってその部屋に未発表の作品が何千、ヘンリー・ダーガーを挙げるのは卑怯かもしれないけれど、いわんや宮澤賢治をや。近代になればなるほど、断絶の甘い効能は増してゆきます。

 とはいえ、世界とつながりたくもあるわたしは、おととい新大久保へ友人喜田原(仮名)と食事に行ってきました。
駅のホームに降り立った瞬間からただよってくる肉の焼けるにおい。
空腹だったことと、そして先週は極東全域がこのにおいの予感に満ちていたことが引き鉄となり、思わず陶然とよろめいて、「ああ、なんてこった、この街は年がら年中このにおいをまとっているのか。たっまんない。まさにalter war。人間と肉の代理戦争。いや、戦争はいつだって肉と肉との闘いで、それ以上だったことなど一度もないか。ふふふ。」などとtwitterでなくはっきり独り言としてつぶやいて、R・リー・アーメイ演じるハートマン一等軍曹に知られたらぶん殴られてサーイエッサー!と言わされるに決まっている妄想をとめることが出来ないでいました。

 つながりたい。アイワナビーウィズユー。官能的にせよ暴力的にせよプラトニックにせよ。ポルノや戦争映画を見るだけでは満足できないわたしたちは、つながれないさびしさや痛みを快感に変えることでなんとかバランスを保っている。でも、ときにはどうしようもない気持ちが暴走する。それがきっと死んだ後に幽霊となるんでしょう。


moe and ghosts 『幽霊たち』

紙ジャケ。歌詞カードなし。
「さよならだ、うつくしきひびよ」「生きること自体、腹八分におさめた・・・」「頭ががんがんいたいよおいたいよおいたいよお・・・」 こうしてリリックを羅列していくだけで、精神が、あのときのように剥き出しになっていくのをはっきり感じ、感じながらでもこれは間違いなくヒップホップ。それ以上でも以下でもなく勿論『勝訴ストリップ』ではない。◆言葉をあふれさせる少女の(と形容するしかない、しかし同時にはっきりもう少女ではない美しい)声は、リリックによってほとんどドラムのように強く胸をたたく。そこに重なる本当の打ち込みの低音。さらに重なる甘い感傷的な音のコラージュ。に、ミルフィーユをいちまいいちまい剥がしたりまたのっけたりしながら踊りくるう白いワンピースを想像する。

「革命は夜に訪れる」――幽霊たち、というタイトルにブレなく、とらえがたい言葉に、イヤホンをはずしても残るメロディの残響に、そしてなにより世界とつながろうかそれともやめようかという痛々しいほど透明な声に、ゆさぶられる。間違いなく今年最高のヒップホップの一枚。

moe and ghosts
幽霊たち

UNKNOWNMIX / HEADZ 167
定価 ¥2,100 [税抜き価格 ¥2,000]
2012年8月15日 [水] 発売

公式サイト

All lyrics by 萌
All tracks written, recorded & mixed by ユージーン・カイム
Except for track 09: traditional English song
Saxophone by 植野隆司(テニスコーツ)
Recorded by 安藤誠英
Mastered by 西村尚美/INNER SCIENCE
Design & photo: 近藤一弥




***

 新大久保で食べた美味しい焼肉の話は今度にとっておくこととして、友人喜田原の元気そうな顔。きれいに染められた髪。それだけで、世界はすばらしい。だいきらいな雨がだいすきな煙草を湿らせていても。たぶんわたしは幽霊になれまい。いやそもそも、twitterやFacebookに占領された世界で幽霊人口は少子高齢化の一途をたどるしかないであろう。そして靖国の亡霊、お岩さん、涙を流す市松人形、彼らがケータイをいじり始める日も遠くないであろう。きっと孫さんは歓迎してくれるぜ。ははは。味気ない世界最高。


BGM 
Eskmo - I Just Want(ダブステップはやっぱクール)
②moe and ghosts - GINGA(ヤバイ。椎名林檎を初めて聞いたときの気持ち)

2012年9月18日火曜日

ZAZEN BOYS.すとーりーず.レビュー

の1週間に起こったすべての香ばしい出来事に、盛大な拍手を。
新聞紙上も、インターネットも、わたくしごとも。世界が、身の回りが、一気に沸騰したおかげで気分は一分ごとに入れ替わるという、ジェットコースター。それが1週間続くなんて誰の復活祭をしているんだろうか我々は。(わたしよりずっと鮮やかに熱されたひとも多いようで何よりです)

 そのなかでも格別キマった出来事を、ここに書けないのは非常に残念なのですが(ただし、うまくキーパンチすればほとんど全てを把握することができるという当然かつ恐々たる事実。)、ひさびさに慈悲以外すべての感情がないまぜになり、手先がしびれ、品性はとうの彼方に失われ、ああ、サディストはこうやって生まれるのでしょうよ、エビング博士。同時にマゾヒストもね。と、スマフォごしに途方に暮れるなどという贅沢な現実体験をいたしました。ふー。忘れっぽくてよかった。あのままキマりつづけたら、もうEXILEも少女時代も聴けなくなっちゃう。ニルヴァーナしか入ってないi-Podなんてあたしイヤ!(i-Pod持っていないですが。)


 という、興奮しまくりの1週間をつないでいたのはZAZEN BOYSの新譜『すとーりーず』。うわー、イヤホンが皮膚の一部になるとこだったわっぶねー。といった声がすでに20000件ほど届いているのですけれど、わたしも全く同意です。


ZAZEN BOYS 『すとーりーず』  

LP版のジャケットは背景が黄色

感想はいらない。解説がほしい。どうしてこんなリズムが存在するのか。◆驚きしかない。とどのつまり、もしかして向井秀徳はエスパーだったりして。きてほしいところで絶対に入る音。◆34分26秒でひとつのダンスミュージックは永遠にきもちよくって、たぶん2062年の中学生が聴いてもあたらしい衝撃。そんときはポテトサラダっていう料理はなくなってるかもね。なんていうつまんない賛辞を言っている場合じゃない、まずはイヤホンを外す方法を考えないと。正確に鳴るすべての楽器。だけどエモーショナルな向井の声。天災も戦争寸前の白日もどうでもいいほどに放っておかれた純度の高い音楽の前でひとは等しく無力であります。


ZAZEN BOYS
すとーりーず

1. サイボーグのオバケ 2. ポテトサラダ 3. はあとぶれいく 4. 破裂音の朝 5. 電球
 6. 気がつけばミッドナイト
7. 暗黒屋 8. サンドペーパーざらざら 9. 泥沼 10. すとーりーず 11. 天狗
MSAL-015 / DQC-964 定価 ¥2,500(税込)
販売/BounDEE by SSNW


***

 書くことのできる香ばしい出来事、には、たとえばカメラマンの新保さんの発言「世の中には2種類の人間がいる。ミッシェルを見た人間と見たことがない人間だ」(うろ覚え)を発端とした軽い炎上とか(見た、を、撮ったに置き換えると、びっくりするほど"わたしたち"には関係のない穏やかな言葉になります。きっと彼にとって見ることと撮ることは同義なのでしょう。必要だったのは、配慮ではなく大衆とのストーリーの共有ですね。)、反日デモとか。今週末、新大久保にいくのですが、やっぱりチャイナタウンにしようかな。という気分であります。

(追記)
っかり忘れていたこと。
ZAZEN BOYSは川崎BAY CAMPの大トリで、それを間近に見てしまったわたしは、14時間も踊り狂った後だというのに、おしゃべりを2時間やめることができなかったのでした。
一緒に行った増子(仮名)は、眠かったろう・疲れていただろうにもかかわらず辛抱強くわたしの話(「さっぽろいっちばんみそら~めん♪はさあ、どこがだしてんの?日清?日清? え?わかんない? じゃあさ、あ~かいきつねとみどりのた~ぬき♪は? まるちゃん?」「渋谷のフレッシュネスで、男の子二人が話してたんだけどさ、ひとりがすっげえ重たい感じで、オレ、あいつのこと世界一愛してたのに。って言ってんのよ。まー、よくある別れ話でさ、結婚も考えて同棲までしてたのに、彼女が出会い系に登録してたと。それが彼氏、許せなかったと。でもさ、会話の半分がさ、あいつのこと世界一愛してたのに。って台詞なわけ(笑)。なんだよもう、未練がましいなあかわいいなあって思いながら、わたし、サルサバーガー食べてたんだけど、聞き役の男の子のほうはさ、KOOLかなんか吸いながら、へえ~・ふ~ん・はあ~の3つだけでかわしてんだ(笑)。ちゃんと聞いてやれよ(笑)。やっぱ女の子の恋バナとは違うんだよね、男の子は。で、おんなじ話を10回ぐらいリピートしてんの聞いてるうちに、金髪のバンギャっぽい女の子が隣でジンジャーエールぶちまけて(笑)、わたしの足びっちゃびちゃに甘くなっちゃった。でも、その男の子は騒ぎに見向きもしないで、愛してたのに~って言ってたよ(笑)」みたいな話)を聞きつづけ、あまつさえお金も貸してくれて(財布をスられてしまったので…。前回の記事参照)、やっぱり持つべきものは友人だなあ。と、ぶん殴られそうなことを考えていました。

 朝の工業地帯にまったく似合わないZAZEN BOYSは、CDよりもすてきなグルーブで新曲を披露し去っていきました。ほとんど誰も手を突き上げない、フェスの終わり。それぞれが好きなリズムを抽出して踊るために、まったくそろわない群衆。
MAN WITH A MISSIONとは正反対のひとかたまりが、暑い夏の終わりを感じていました。そして、すばらしい秋が来ることを、わたしはこっそりとうっとりと願っているのでした。

BGM
Britney Spears - Toxic(合法ドラッグというのはこういうのを言う。)
RIP SLYME - 熱帯夜(これも。PVも最高。)

2012年9月11日火曜日

川崎BAY CAMP.9月8日-9日.レポート①The Birthday/MO'SOME TONEBENDER

9月9日15:57、我が都市葛飾に帰還せり。鳴り止まぬリズムと疲労のために「地獄の季節」を読み返そうとして、気づいたら、よだれに添い寝をしてもらっていた18:07。このちょうど24時間前、わたしは神奈川県は川崎市、BAY CAMP@東扇島東公園でThe Birthdayの演奏があと3分で始まるのを前方10列目ほどで待ちわびているところでした。




The Birthday

[SET LIST]
1. Buddy
2. ROKA
3. SATURDAY NIGHT KILLER KISS
4. Riot Night Serenade
5. さよなら最終兵器
6. 涙がこぼれそう

目。というのは本来とても混沌としたものであることはご存知のことと思います。たとえば、マリッジブルー。たとえば、尖閣諸島。たとえば、大学時代。だから、ひとは年中行事できっちり境界線をつくりだし、混沌をなくそうと努めているのだと思うのですが、BAY CAMP開催地たる川崎市、東京と神奈川の県境にありまして、新宿は都庁の光も・横浜はマリンタワーの光も、微妙に届かない。つまりはケイオスが発生するにはちょうどいい土地であります。
そして、日が沈もうとする時間帯、この昼と夜の境目を東南アジア諸国のひとびとは丁寧にゆっくりと過ごすと聞いています。それもやはり混沌を避けるためでしょう。しかし、その知恵を失った、もしくは混沌に飢えた人間たちは、すっかり狂喜乱舞し、そう、The Birthdayの時間はダイバーが飛び交い、きりもみになり、痴漢が現れ、最後は財布がスられる。という笑、この夏いちばん忘れられない。または呆然とする混沌に満ち満ちた時間となりました。

けれども、[さよなら最終兵器]の大合唱。「どんなに汚れても、海は海だからねえ」というMC。ラスト[涙がこぼれそう]で、ギターの音が出なくなったフジイさんに、チバさんが自分のグレッチをかかげて弾くよう合図、向かい合った二人。笑いあいながら、一本のギターをはさんでアウトロを完成させる。というちょっと胸のつまるような場面、は、The Birthdayの純粋ないい気分を伝える最高のエピソードでありました。フジイさんご自身も、ライブ後twitterで、「バンドっていいなぁ」とつぶやくぐらいには最高。エモーショナルとはまさにこういうときに使う言葉ですなあ。ええ。本当にエモーショナルなライブでありました。

まあね、痴漢や財布をスられたのはね笑、なにかの吉兆でしょう。楽しみに待ちます。別にいいやということじゃありません、犯人が見つかれば(痴漢のほうは覚えてっかんな、バカヤロー水差しやがって。)Aphex Twinのジャケットの顔をしながらぶん殴って、東京湾の養分にしてやりたいと思います、ははは、けれどもわたしがやらなくてもきっとどこかで痛い目にあってくれるでしょう。


DANCE DANCE DANCE!!

MO'SOME TONEBENDER

[SET LIST]
1. TRIGGER HAPPY
2. LOST IN THE CITY
3. TIGER
4. SHINING
5. ロッキンルーラー
6. BIG-S

23時すぎ。いよいよ真夜中という時間になって、ああ、月だ。半月にやや足りない月がのぼってくる。あ、うっそ、今すっげえことに気づいちゃった、ねえ朝まであと7時間もあんじゃん、しかもこれからモーサムじゃん、うわあ、あたしモーサム初めて。どーしよ、[SHINING]やってくれるかなあー。ぜひ生であのイントロを聴きたいですなあー。っちゅーか、百々ほっそ!(サウンドチェック始まる)、しゃばい、本物だあ、感動だあ、ああー何考えてるんだろお(百々、藤田勇の機材トラブルに話し込むスタッフたちを遠くから棒立ちで眺め続ける。)、早く始まんないかなあ。(後ろの男子2人)「なあ、モーサムってギターふたりいんだけどさ、」「うん」「ひとりはもともとドラムなんだよ。」「へえー? 」「ある日、ドラムが前に出たくなってギターはじめたらしい笑」「んだよ、それ笑」(わたし、釣られ笑い)、と、これこの通り、まるで無防備なユルい気持ちで見始めたところ、あまりの熱と意味不明さにあてられてしまい、財布をスられたのとは別の方向から呆然とする。という素晴らしい体験をいたしました。

呆然。というのは、まずは素晴らしい演奏、[SHINING]がCD音源と同じキラキラ感でもって聴けて。いや、CDよりもいっそうキラキラしく・騒々しく・めっちゃくちゃ。ながらも、各人のソロはスーパークール。百々のムスタングの暴れっぷり・鳴きっぷりもたまりませんでしたが、武井さんのおっとこまえなベイスに絶叫。

だけども、その男前な武井さんがクリスマスのオーナメントよろしく発光している事実。については、興奮しまくる右脳がある一方、左脳では「なんかオカシイ・・・。」とサイレンが鳴り響いているのでありました。
そもそも、登場シーンからおかしく、武井さんがいないなあ。とステージを見ていたら、後方からキャーっという歓声(悲鳴)、振り返ると、白い作務衣に般若の面、「祭」と書かれた赤い巨大うちわ。という装備で武井さんが歩いていました。(ちょっと自分でも何書いているかわかんない)
ステージに上がった後も、電飾を身にまとい、ライトセーバーをぶん回し。というパフォーマンスを繰り広げ、その横で百々は普通にロックンロールをする。というそのコントラストなシュールさにとってもむねをうたれました。ありがとうございます。ちなみに武井さんはわたしの真横をとおったのでちょっと触ってしまいました。(あ、これが痴漢されたことの裏返しか?)

(終演後、先ほどの男子二人)「・・・・・・すごかったな。」「・・・・・・な。モーサム、どこ向かってんだろうな。」
他のバンドについては後日。(group inou/zazen/8秒/DJブース等)

BGM

Honky Tonk

2012年9月7日金曜日

ART-SCHOOL.BABY ACID BABY.レビュー

飾は、ようやく夏が終わろうとしています。
先週は、家の軒先で乾いた蝉が一匹、ひっくり返っていました。あら、と思ったとき聴いていたのはART-SCHOOLの新譜でした。


ART-SCHOOL 『BABY ACID BABY』

バンド崩壊の危機を経験した木下理樹の声。は、少年のような淑女のような・獣のような貴族のような・ロックンローラーのような演歌歌手のような。「あんた、いったい誰なの。」と恐怖すら印象づけながら「猿の胎児が飲んだコーク」などというひりっとした詞をやってくれるからたまらなく体が戦慄いてしまう。◆そのふるえを加速させる雄雄しいリズムはさすがの中尾憲太郎38歳&藤田勇。しょっぱな[BABY ACID BABY]のイントロでぶっ飛び次に意識を取り戻したとき、痺れながら何らかの液体を撒き散らしている自分を目撃することでしょう。◆それでも美しく、なんなら品がよくほのかな光すら感じさせるのは、あまりに鋭敏に研ぎ澄まされているから。ときにきらきらしい戸高のギターの絶叫。10代こそ聴くべき。こうして男は「大人」になるのよ。


ART-SCHOOL


BABY ACID BABY

2012/8/1発売
\2,835(税込)
Ki/oon Music Inc. KSCL-2096


 蝉は、一晩たって見てみたらいなくなっていました。
近所の野良猫がくわえていったのかしら。というわたしに、「いや、空へ戻ったんだよ。」という父の言葉はあんまりに老成したこどものようで思わず笑ってしまいました。



BGM

Crypt City-Escape(中尾憲太郎つながりで。)
wayne shorter quartet - masqualero(朝聴くとさいっこう)
Lane Del Rey - Video Games
Lana Del Rey - Blue Jeans
ラナ・デル・レイは間違いなく「アベンジャーズ」なんかを生み出した、内田樹先生いうところの「アメリカの病」の延長上に分かりやすく乗っかっている気がします。
アメリカの歌手が「アメリカ」を象徴してもマドンナにはなれない、レディーガガにも。と思ってしまうものの、彼女の曲はすばらしい。

2012年9月3日月曜日

赤い季節トークショー&ライブ.THE GOLDEN WET FINGERS@梅田クアトロ②.8月28日(火)

付けば、8月も終わってしまいました。
しかし、西瓜はまだまだほどよく熟れており、美味しくいただいては、残った種を綺麗にざるのなかで洗い、天日で乾かし、大きさ・形・厚みで細かく分類したあと、スマートフォンのケースに髑髏になるように整然とデコる。という内職をずっとずっとしております。
これが案外むずかしく、なぜなら、西瓜の種というのは扁平な形をしているようで実はゆるやかな丸みを帯びているので、なかなか安定しちゃあくれないのです。
ですから、きちっと思ったとおりに貼り付けるべく、種の背面を肥後守でうすーく削って水平にする、当然すべての種の厚みが均一になるように。さもなくば返品されてしまい、大量の種を草間彌生がごとく身にまとって、しくしく涙を流していると、あらあらその涙が種の発芽をうながして周り一面西瓜畑になってしまいました。

と、すっかり東京の暑気の残り香にやられ、ゲリラ豪雨にやられ、地方のライブの熱さをtwitterで又聞きし歯噛みし、といった今日でありますが、そんな連戦連敗のわたくしも、たった5日前は天下の台所・大坂に降り立ち、チバユウスケ・中村達也・イマイアキノブという奇跡の編成・THE GOLDEN WET FINGERSを目の前に興奮していたのでありました。

そんなGWFのレポートはこちら。「赤い季節トークショー&ライブ.THE GOLDEN WET FINGERS@梅田クアトロ①.8月28日(火)

ソロ音源についてはこちら。「SNAKE ON THE BEACH.DEAR ROCKERS.レビュー」


チバユウスケ、ソロ。
あの声と打ち込みドラムの親和性の高さ!



くつになっても可愛らしいちわきまゆみさんを司会に据えて、梅田クラブクアトロの決して大きくないステージ上、監督・能野哲彦氏(キャスケットが似合う、ただちょっと手持ち無沙汰のような。笑)を中心に、向かって左に出演者の新居延遼明くん、右に村上淳さんという配置でもってトークショー、スタート。

といっても、そこまでが随分長く、われわれ観客は映画「赤い季節」の特別映像なるものを左右二つのスクリーンにてしばらく凝視していました。
いや、正しくは、映像に重なるチバユウスケのソロ楽曲に、エクスクラメーションマークがえんえんわきでていた、と言ったほうがいいでしょう、驚き、歓喜し、陶酔し、「まるでこれは、マドンナがやったって。BECKがやったって。いやPerfumeがやったって。」と狼狽しつつ、最終的にあの薄い胸に大量のチップを押し込みたくなる、そんな気分で口をあけて(しまらなかった)、かつて彼がThee Michelle Gun Elephantというロックバンドをやっていたことを、別の宇宙の話のように思わざるを得ませんでした。

特に打ち込まれたドラムと彼の相性のよさに呆然。既に2011年3月号の「音楽と人」で、ソロ楽曲はドラムが打ち込みということは明らかになっていましたが、やはり驚き、かっこいいことにもう一回驚き。
爪がこーんなに長くてカラフルでキティちゃんとかくっついててキミたちそれでパンツとか穿けるわけ?といった風情のギャルが店番してるショップでしばしばドンツードンツー派手な低音が流れてきますが、そこで今回の曲かけても全然いけんじゃん?! むしろ洒落乙!! というぐらい、いや渋谷109でチバユウスケの声が聴けたら、その日が本当に日本にパンクが定着した日となりますね。

もちろん、ピアノをぽーんと鳴らすような"切なげないつものチバユウスケ"っぽい楽曲も何曲か聴こえてきました。
しかし、ロマンチックな要素の排除された、実験的な楽曲の面白さが際立って胸に響き踊りまくりたくなる衝動が。アルバム、10月10日発売ということで大変楽しみであります。



ークショーについては、映画の深い話よりも、スニーカーの素敵な俳優・村上淳さんの小粋で洒脱な話術に翻弄されっぱなし、さすが大阪出身。
途中、中村達也氏がちわきさんに呼び込まれた際の掛け合いなんかはまるで芸人、あの、質問なんですが、オオサカの方ってみんな自然とああなっていくものなんでしょうか?笑 東京生まれ東京育ち(それどころかワタクシ寅さんの台詞をそのまま言えます。)にとって、あの流れるようなテンドンは、異文化そのものでありました。

映画の話題で強調されていたのは、「赤い季節」が初出演となった新居延遼明くんの美しさについて。
北海道出身、19歳。という酒と煙草を思わず取り落としそうになるプロフィルを持っている上に、ステージ上、なかなか客席を見ることもできず、やや上ずった声で話す痩せた男の子。そりゃあ、悪いオトナたちの琴線に触れてしまうよね、やだなあもう、応援したくなっちゃうなあ。とたぶん会場にいた一定年齢以上の方が思ったはずです。

あとは、出演者のひとり・風吹ジュンさんがきれいできれいで・・・昔はお世話になりましたよねえ・・・・・・という、ちょっとエロっぽい話にふれると「もうっ男子は~」となるちわきまゆみさん、たまんねえぜ。
能野監督も、村上淳さん演じる殺し屋が、風吹ジュンさん演じる女性を「ほんっとひっどいやつだなあ!(ちわきさん談)」というくらいゴリゴリに傷めつけるシーンを、「いや・・・あれは唯一のラブシーンのつもりで撮ったんだけどね」とおっしゃってましたから、男子諸君は期待していいのではないでしょうか。


ということで2回に分けましたが、「赤い季節トークショー&ライブ@梅田クラブクアトロ」については以上ということにいたします。
トークショー部分の記憶が曖昧で(すっかりチバソロに惑わされていた頭で観ていたので)申し訳ありません。
能野さんと同じ時代を生き、同じ映画を観てきたような人なら楽しめそうな映画だなと感じましたよ。



BGM
Sun Ra Arkestra live at Montreux 1976(土星人の頭がオカしいのではなく、とっくに地球人の脳みそがとっくに乾いているだけ。)
Space Is The Place [Sun Ra Film 1974]("お"のつかないほうのカルト。まったく意味がわからなくて気持ちいい)
③伊集院光 深夜の馬鹿力 2007年6月11日

2012年8月30日木曜日

赤い季節トークショー&ライブ.THE GOLDEN WET FINGERS@梅田クアトロ①.8月28日(火)


しまっとけ~しまっとけ~(酒とラッキーストライクに20年以上まみれた声でご一緒に)


阪初上陸。にして、新大阪の駅のトイレに紙がない、ないというのは切れているということではなくもともと設置されていない、買ってくださいというミーニングだと知って、ああ、これがウワサの大阪!帰るころには素っ裸・・・・・・とぶるぶる震えながら100円払って流せるティッシュを購入。
したものの、あとは格別なことは何もなく、歌舞伎町に一歩踏み出したあの気分も、表参道のディオールの赤にくらっくらした陶酔も、キミたちバターになっちゃうよ。と言いたくなるよな首都高速のスピードへの快感も何もなく、ただただ均質化された東京の延長としての繁華街という様子で、もっとディープな大阪カマン!という欲求不満・消化不良の体で今これを書いています。

しかしながら、梅田駅前の高架下、棒切れみたいな還暦あたりの女子が一生懸命なにか抗議文らしきものを、ひたすら原色で紙に書き連ねる。のを、うしろから警備員が面白そうに眺めている。それだけは、ああ、地方に来たのだ・ここは首都ではないのだ、と強く実感しました。
スタンドアローンな都市に触れた経験のほとんどない平成生まれとして、死ぬまでにいくつこういった光景に遭遇できるか、全く予想もつきません。

今回、そんな大阪くんだりまで来た理由は、Thee Michelle Gun Elephantのマネージャー、能野哲彦さんが監督した映画「赤い季節」のトークショー&スペシャルライブ@梅田クラブクアトロを堪能するためでした。
勿論一番のお目当ては、劇中バンドTHE GOLDEN WET FINGERS!
チバユウスケ・中村達也・イマイアキノブ。という"奇跡の編成"――これは、twitter等々で見かけた枕詞ですが――は、まずアーティスト写真がハンパなく良い出来で、イカす・イカれた・イカにもな(バンド名もちょっとイカ・・・以下は言わないでおきましょう、だれが命名したのか、やるなあ。司会のちわきまゆみさんの「1回しか言いたくないんですけどっ。」がエロくて。そういえばヒシダエイジも某加藤さんに敬意を表してGOLDEN FINGERという曲を制作されていますね)、きっとゆっれゆれの音楽が聴けるんじゃなかろうかという甘い気持ちを胸にして、梅田クアトロでジャックジンジャーを胃にイン。



THE GOLDEN WET FINGERS

蹴る!倒す!スタッフが直す!また蹴る!(中村達也氏)

トークショーが終わり(別記します。会場内でかかっていたチバユウスケのソロ音源についても。彼のソロアルバムはかなり期待して良いと思います。)いよいよ待ちわびていたGWFの面々が映画「赤い季節」の映像とバイクの走行音に続いて登場。

まあ正直に見終わった後の感想をここで述べてしまえば、「雰囲気だけで酔える方法を知っているならば。そしてチバユウスケが楽しいだけであなたが楽しくなれるならば。」という種類のステージでして、うなるギターソロ・真に踊るために必要なベイス・エモーショナルな歌詞・絶叫などはほとんどなく、「え?え?まだ?まだなだけよね?」という顔のお客さんも(わたし含め)多少おりました。

しかし、最早チバユウスケというロックアイコンを求めるのは、ただ踊りたい人。だけでないことは火を見るより明らかで、それはときに彼を追い詰める形で苛烈に峻厳にロックの延命を要求してきたファンには想像つかないような、「甘やかし」の人々が、彼に自由(語弊がありそうな。)を与えたひとつが今回だったのだと思います。

だから、雰囲気は本当にナイステイスト。
ステージ向かって右から、白い胸元をひろげる以外は全身真っ黒のチバユウスケ・さっそくシャツを脱ぎ捨て刺青をさらす中村達也(当然イッてる両眼)・美しいロマンスグレーに終始無言のイマイアキノブ、とアーティスト写真の様相をほぼ踏襲し、1曲目の[BABY HONEY BE]の演奏を開始。


[SET LIST]※どなたかの写真を参照。多謝。
1.BABY HONEY BE
2.GWFのテーマ
3.砂の時間
4.世界中
5.Cibilaters
6.夜明けの超特急 SAGAWA
7.しまっとけ~NO BRAIN
8.Teddy Boy
encore.NEW SONG


今回、この[BABY HONEY BE]のように、同じフレーズの繰り返しで構成された楽曲が多く演奏されました。
ミッシェルのときもそのような曲は多数あったわけですが、当夜はいかんせんギターがエモーション不足。もちろんそれを補うように中村達也氏のドラムがこれでもかというほどに打ち鳴らされているので、ぐらぐらとするきぶんはちゃんと湧いてくる。
最早中村達也のソロといっても過言ではない圧倒的なパフォーマンスにあががががががと内臓がきしむ音まで。

また、イマイアキノブ氏の弾くギターがところどころ揺れていてたのはグッド!(スプレー缶によるスライド。弾き終わり、後方に缶を放り投げるところまでカッコいい)
もっともっと弾いてくれよ!と鼻息を荒くしたものの、前述のとおりこれは"チバユウスケを甘やかす会"なので、ほとんどのギターソロをチバ氏が担当、それをあったかい目で見るという、なんというか・・・・・・まあ、そういうことなのです。GWFは。笑

しかし、2曲目の[GWFのテーマ](インスト)や、[しまっとけ~NO BRAIN]なんかはストレートによかった。[しまっとけ~]はほぼ「しまっとけ」という歌詞しか聴こえず(他もなにか歌っていましたが)、ああ、しまってほしいんだなということを胸に刻みました。

MCについてはけっこう多め、チバの「ハジメマシテ。(ねっとりと)」や「この三人みんな忘れっぽいからさ~」「(「達也~!」という歓声に続いて)健忘症のひとのことなんていうか知ってる?"けんちゃん"っていうんだよ。」などなど、いかにも楽しそうな彼の気分。
そしてアンコールが終わり、ノリノリで楽屋にひっこんだチバユウスケを見て、「なんかそれならそれでいいかも。」と思ったわたしもとっくにロック教の信者ではなく、ただただひとりの温いファンなのであります。

ということで、9月はじめの渋谷のイベントに行かれる方は、是非そのような「甘やかし」をたんと用意して(もちろんキレキレひりひりの音楽への期待は家に置いてきて笑)臨んでください。

書き残しがあれば、別記事を立てて追加します。以上取り急ぎGWFレポートでございました。


そんなGWFのレポートはこちら。「赤い季節トークショー&ライブ.THE GOLDEN WET FINGERS@梅田クアトロ②.8月28日(火)

ソロ音源についてはこちら。「SNAKE ON THE BEACH.DEAR ROCKERS.レビュー」


筆記中BGM
Miles Davis (Live Montreux / 1973)(サイコーッ!黒色の指の美しさ!)
Miles Davis Live Electric and Brutal @ Berlin 1973(サイコーッ!サイコーッ!)