2012年10月15日月曜日

MO'SOME TONEBENDER.S.U.C.Kツアーファイナル@恵比寿リキッドルーム.ライブレポート

(MC by藤田勇)「モーサムトーンベンダーのライブを楽しむための10カ条。その1、ブチ切れる。その2、ブチ切れる。その3、ブチ切れる。その4、ブチ切れる。その5、ブチ切れる。その6、ブチ切れる。その7、ブチ切れる。その8、ブチ切れる。その9、ブチ切れる。その10、ブチ切れる。」からの轟音。を、聴いたとき、どんなに素晴らしくって大好きなバンドがあったとして、まったく冷え切ったままのライブもある。だって生モノなのだから、人間なのだから。しかして、今日はどうだ。「絶対に」大丈夫だ。わたしと、わたしと共にリキッドを埋める観客と、彼ら――モーサムトーンベンダーの目指すべきテンション・体温・疲労、つまり目的が完全に一致しているのだから。と確信する。10月も半ばにさしかかろうとする土曜日、まず間違いなくこのフロアーが東京でもっともホットになるに違いない。1曲目~2曲目ですでに踊られるダンスの烈しさがその証明だ。


リキッドの写真撮るのを
すっかり忘れていました。
 とか、なんとかかんとかバラライカ、[DOOR]から[YOUNG LUST]としょっぱなから飛ばす混沌に、みんな笑顔で頭を振り乱していたら、4曲目あたりでいきなし演奏がストップ。「(百々)機械は人間よりも弱いからなあ。」つまり、あの(笑)、藤田勇のギタートラブル発生(笑)。「(武井さん)ツアーの疲れがギターにも出てたようです。」「(客)たけいさんはあーーー?!」「(武井さん)・・・・・・え?俺?(微笑)」すぐに機材が交換されるも鳴らない音。しばしの無音でゆっくりと空気を冷やしていくかに見えたフロアー、しかしそれを見事な"武井節"がかきまわしていく。
 「(武井さん)ツアーではいろいろなところをね、まわらせてもらいましたけどね。……だいぶお客さんが少ないところもあったような・・・」「(客・爆笑)」「(百々)……」「(藤田)……(一生懸命)」しかしその軽妙洒脱(笑)なトーク力を持ってしても、なかなか終わりの見えない調整に、だんだんと沈黙は延びてゆき、彼の額には冷や汗と思しき液体が浮かびあがっていきました。けれどもすでに述べたとおり、目的を同じくしたわれわれは、その間延びに逆に危うい期待と興奮を高めていきました。助走がなくては高く跳べない。オードブルがなくてはフルコースとは言えない。痛快さはいつも遅れてやってくる、だから自殺なんかしちゃあもったいないんだよ、若者達よ。やっとの調整を経て演奏再開した後の恵比寿リキッドルームの熱狂は、単純にして明快、ただただ踊り尽くそうという気概だけが支える、まさに爆発でありました。


 彼らのすごいのは、そんな凶器とも狂喜ともいえる爆音の沙汰にも関わらず、どの音もちゃんとCDどおりに分離して耳に届く、というところでありまして、だからこそ[Beach Side Moon]のような楽曲もたいへん美しく、そして聴衆の動きがやむこともなく、ダンスミュージックとして成立しちゃうわけですね。一部の男子からは「えー!」という声も聞こえましたが(笑)、あの「武井オペラ」は激ヤバ!!熱気があるぶん、武井さんの声が伸びまくって、もー揺れること揺れること!
いったことのある人ならば
わかるであろう、
ホールの前面鏡。
  しかし、多くのひとにとって一番ヤバかったのはやっぱり[ElectBoys]でしょう。事前情報をまったくいれずにいったので、まさかカラフルなサイリウム群が一気に頭上に振りかざされるとは思わず(開演前、サイリウムを手売りするお姉さんを横目に「ちっ、声優イベントかよ、Aice5だったら誰がなんと言おうと緑を買ってたよ、おりゃあよ、だけど今日はモーサムだぜえ? 百々は赤だな。買わないけど。」という実に男らしい(笑)勘違い。リキッドでなぜ手売りしているのか考えればすぐ分かることだったのに。。)、その光の残像にくっらくらしながら、やっとここでロックバンドのライブらしく皆でガンガン飛び跳ねながら踊って、汗と共に意識も床に滴らせて、もうそこからは止まらない・止まれない。
 なぜこうもモーサムのロックは「踊れる」のか。開演前の藤田勇制作のMIX-CDは確かにエレクトロニカな色に染まっており、一方で百々の鳴らすムスタングはパンクの絶叫であり、両者の奇跡的な融合がこの結果なんだろうか、などと余計なことを考え始めた瞬間きた[Shining]のイントロのキラキラ感がくれた答えは、その歌詞どおり。「言葉もなくしちゃったよ 叫んでばっかりだよ ハロー アイラブユー」視界は電飾でいっぱいの武井さんでぐらり。


 どの曲の前で言ったかは忘れましたが、百々の「発散してる?」に示されたモーサムの意義は、すべての音楽に共通しつつ、全員がエンターテインメント性を持ちながら鋭利・めちゃくちゃでありながら失われないリズム。という点を見ると、ロック部門ではモーサムが一番じゃないのかな。というか、もしかして今日のライブは彼らのキャリアのなかで一番じゃないのかな。という感すらしてくるS.U.C.Kツアーファイナル。12月25日に再び東京に現れる(「(百々)どうせ予定ないやろ!(笑顔)」)彼らを今観に行かずにどうするのだ、踊れるロックンローラーたちよ。率直に、「こんなに」はもう来年はないかもしれません。


[SET LIST]

※某所参照。すみません覚え切れなかった。
01. DOOR
02. YOUNG LUST
03. TIGER
04. Metaluca
05. Hammmmer remix ver.
06. farewell party
07. Punks is already dead
08. Cat park
09. happy new year
10. ロッキンルーラ
11. 未来は今
12. Beach Side Moon
13. born head dandy
14. パーティは続くよ
15. Have you ever seen the stars?
16. ElectBoys
17. 24 hour fighting people
18. Lost In the City
19. hang song
20. GREEN & GOLD
21. Shining
22. Anywhere(But Here)

encore1. 
trigger happy
BIG-S

encore2.
凡人のロックンロール


 アンコールにて。
 「中年男性・額・電光掲示板」という普通なら頭をひねるような三題噺をそのままその身で、というかどんな想像も超えて体現し、客席を練り歩くベースがほかにいるかってんだ。いたら言ってくれ、そいつがモーサムの次にかっこいいバンドのベースに決まってる。

(2012年10月22日一部改訂)


BGM

①Slynk - Let's Make It Funky(後ろでワウワウいってるギター(たぶん)が最高)
②MO'SOME TONEBENDER - Strange Utopia Crazy Kitchen(言うまでもなく最高)

2012年10月10日水曜日

SNAKE ON THE BEACH.DEAR ROCKERS.レビュー

「音楽と人」がチバユウスケ・ソロプロジェクトの巻頭特集をやるにあたって、東京の夜景を背景に、キャデラック・サングラス・赤い柄シャツ・煙草・黒のジャケット。あまつさえ表紙はオールバック、というまるで2000年に戻ったかのようなビジュアルをディレクションした。だが、この作品を手にとる人ならばおそらく、Thee Michelle Gun Elephantを愛していて、アベフトシを愛していて、チバユウスケを愛しそして少し憎んでいて、それらがもう消失・変形してしまったことを了解しているだろう。このアルバムは、その「変わってしまった」チバユウスケが数年の時間をかけてひとりきりで制作したものだ。その純度の高さは、聴けばすぐに伝わってくる。彼がいかにまっすぐなのかということ。アベフトシをはじめとした相棒たちの熱がいかに彼を魅了してきたのかということ。過去にあったそれらの音を切望しても何も生まれないこと。「赤い季節を抜けて 俺達旅してる どこまでも行こうぜ(Teddy Boy)」。だから、やっぱり今月の「音楽と人」はにっこり笑って仕舞っちゃわなきゃいけない。



初回版ジャケット
 語弊をおそれずに言うのなら、わたしはこのアルバムは彼の最高のロックの体現だと思う。音がフレーズがメロディが、ということではない。中毒性の高いカッティングやうなるベースやロールしまくるレスポールを、彼一人で生み出すのは重すぎる。ただ一方、それを隣で担ってくれる相棒達と出会えたことが、彼をこの先30年は名前が残るくらいに成功させたことは間違いなく、しかしそれは同時に、とくにミッシェルとしての成功は彼のその後の人生を強く束縛したはずだ。
 チバユウスケが成功と引きかえにその身を差し出した束縛、それは無間地獄と似ている。払っても払っても降り注ぐインタビュアー、ファンの同じ疑問、同じ期待、同じ失望。そして、ひとりで生みだした今作がどういったものになるのか。彼はふたたび同じ期待を受けていたろうにも関わらず、「エレクトロニカ&アコースティック」、つまり、打ち込みのドラム・繰り返されるトラック・暗いギターやピアノの旋律の美しさ。というロックの熱を含まないものを颯爽と相棒にしてみせたのだった。
 
 だから、「最高」という言葉の意味は、成功という地獄に落ちて、もがいてもがいてもがき続けた末に手に入れた、成熟の付随する自由の精神にある。その表れのひとつが、今回はエレクトロニカであり、アコースティックであり、サウンドトラックらしい風景のつらなり、開かれたメッセージ。であるだけで、そうだ、ほんとはとっくに[ROKA]で、[さよなら最終兵器]で、彼がもう何もかもを受け入れて自由になっていたことは明らかだった。いつでも彼より何歩か後ろにいて、そこにこだわるわたしたちは、一見ロックには聞こえない楽曲に驚きながら戸惑いながら耳を澄ます。
 
 おんなじフレーズが繰り返されるだけの優しいギターの旋律は、初期衝動を求めるひとには退屈な子守唄かもしれない。一方、映画のワンシーンをこころに自然と描かせるそれは、チバの声がしなくとも、彼のやわらかいところを感じさせて、懐かしくさみしい気持ちよさ。
 ひねりのない打ち込みは、「その道に通じていない拙さならではの味。」というだけでない。深夜のトンネルを抜け続けるような単調な低音と、上にのる荒っぽいギターが、艶めいた単語を発するチバの声と溶け合うのは、偶然の産物であろうにしても、ずるい。
 どこまでも続く電車の車窓から、ところどころの景色を眺めるかのようなこのアルバムは、制作期間の長さもあいまって様々な場所、新宿を通ったり郊外を通ったり海のそばに停まったりして終わりに向かう。ただ、一貫して流れる冬の季節は、彼の制作中の気分を少なからず投影しているはずで、すこしかなしい。



ケースからはずしづらい。
 詩のうつくしさ、それは、ソロという孤独(ソロ=孤独ということではなく、彼がソロプロジェクトを始めた経緯をふまえたうえでの孤独として。)を反映するかのように研ぎ澄まされている。それまでの邦ロックの歌詞表現の一端を担っていた、一見意味の分からない言葉の羅列によって内省的世界を描く手法から一歩抜け出て、まったく押し付けがましくない大人の言がそこにある。連想される色や映像のせつなさ。彼のフォロワーは多くいるが、いまだその詩世界に匹敵するシンガーはいない。「真っ二つに割れた月が オレンジににじんでいた(Cold Man)」。エモーショナルな絶叫がなくとも、踊れる。踊りながらも、涙をたたえるそれらの言葉は、彼の人生の重みや悲しみ・個人的ななにか、そこには当然三年前のことも二年前のことも含まれ、深い愛情と叶わない愛情が横たわってわたしたちの胸を波打たせる。[19:40]の言葉のつらさ。だからこそ、アルバム終わりの[Teddy Boy]や[~Wild Children]の言葉で安心して、ふたたびThe Birthdayを聴こうと思える。クハラカズユキ・ヒライハルキ・フジイケンジによって彼があらたに可塑され、形を変え、いっそう自由になっていく姿が目に浮かぶから。それを聴けば、あまりの気持ちよさにわたしたちも自由になれるだろうから。


 一部の楽曲でイマイアキノブ(Gt. ex.ROSSO, The Birthday)(おそらく[青い熱])やフジイケンジ(Gt. ex. MY LITTLE LOVER, The Birthday)(おそらく[Teddy Boy])らも参加。そこは多少"いつものチバユウスケっぽいロック"に色づいているが、それだけを期待するのならば過去作を振り返ったほうがいい。だから、もうひとつだけ引用しよう、「HAPPY BIRTHDAY TO YOU HAPPY BIRTHDAY TO YOU 旅に出ようぜガキ共」。


***


 最後に、もし可能なら彼に質問したいことがあります。どなたか会う機会があればかわりに訊いてください(笑)。
「ラテン色の強い[Diengo][North End]などの楽曲が含まれていますが、これはやはり「ゴッドファーザー」などの映画の影響ですか? それとも近年の日本のラテン化を嗅ぎ取ったものなのでしょうか。もしくは、ラテン音楽でとくに気に入っている作品があったりするのでしょうか。」

ソロに関連して~GWFの記事は以下
赤い季節トークショー&ライブ.THE GOLDEN WET FINGERS@梅田クアトロ~ライブ編
赤い季節トークショー&ライブ.THE GOLDEN WET FINGERS@梅田クアトロ~トーク編

(2012年10月12日一部改訂。)

DCPRG@日比谷野音.10月8日.ライブレポート

「風邪薬、缶チューハイ3本、ラッキーストライク・メンソール(タール6mg、ニコチン0.5mg)」という簡易かつ安価かつ合法なドラッグを使ったために、初めての野音・初めての生DCPRGにも関わらず、全観客中メダルをもらえるくらい(金メダルはわたしの斜め前にいた吉良吉影とイヴ・サンローランを足して2で割ったみたいな、ジャケットとオールバックが痺れるほど似合うお兄ちゃんに。)踊りくるうことができました。しかも明けて今日、二日酔・疲れ共にまったくありません。これは、DCPRGの・菊地成孔というひとの・音楽の浄化性の証明でしかなく、しかし、気持ちよく、ああ、気持ちいいなあ。と語彙が全部ぶっとぶ程度には快感。


[SET LIST]

1. 殺陣
2. Playmate At Hanoi
3. Circle/Line
4. Catch 22
5. Microphone Tyson feat.SIMI LAB
6. Uncommon feat.SIMI LAB
7. 構造Ⅰ
8. Duran
encore. Mirror Balls feat.SIMI LAB

 1曲目、[殺陣]がはじまるときの凄絶なまでの緊張感。は、前座(というのが申し訳ないほどすばらしいSIMI LABとtoeのパフォーマンス。toeなんかTwitterのトレンドに入っちゃってたもんね!(笑))でいい感じに溶かされた日比谷野音の空気を一挙に戦域前線へ送り込む――これは、ペペ・トルメント・アスカラールでもそうだったので、おそらく菊地成孔のバンドの共通因子なのではないか。と思います。どの音が鳴るのか分からない、倒れそうな緊張感→リズムによる弛緩という流れが、何を意味しているのかは御本人のみぞ知る、というところでしょうが、とりあえずわたしは「恋愛」にベットしておきます。―― 菊地さんの左腕のひとふりだけが、われわれの期待を支配するまさに軍隊。類家心平のトランペットはまさに勝鬨。からの、[Playmate At Hanoi]のいきなしの熱帯夜は、十月の肌寒さを燃やして観客がめいめい思い思いのリズムで踊りだすきっかけ。そして、[Circle/Line]の大村孝佳のスーパーギターソロにメロメロにやられ、[Catch 22]での千住宗臣のドラム、が緑と白のライトに照らし出されてなんというマトリックス。と思ったあとは、いよいよSIMI LABの登場。という、完璧なセットリスト!だれだ、かんがえたの!(菊地さんです。天才なんです。)

(SIMI LABオンリー版の[Uncommon] MV) 
 
 SIMI LABは、開場前のリハでもうすでに泣きたくなるよなリズム&エモーショナルをぶちこんでいて(しかもリハ終わりに「よろしくおねがいしまーす。」の声。うわあん。)、この前々日に手に入れた彼らのファーストアルバムをうっとり聴いていたわたしは「あの美しい低音の女」マリアのラップを生で聴けるなんて~!と始まる前からトリップ。たぶん、サン・ラーのいる土星まで
 開演までのDJ(これまたすばらしい。)からそのままシームレスに突入した前座では、OMSBの10月26日発売のソロアルバムから新曲を披露、そんなOMSB、実は正社員として働いていることを暴露(笑)、ほとんど総立ちの観客の間を走りぬけたり、拍手に照れてみせたり、「今日のお客サン、愛あるよ(byマリア)」というステージで満足していたら、DCPRGがバックの[Microphone Tyson]でついに記憶が途切れ途切れになりました。あまりの気持ちよさに。だれだ、コラボをおもいついたの!(菊地さんです。天才以下略。

 本編最後の[Duran]は、菊地さんのDJさばきがやっべー(笑)、笑うしかねえー(笑)、CDと同じ、いいやそれ以上のクオリティで回されるアジテーターの演説。が、リズムと絡んではんぱねえー(笑)。と、踊りながらずっと爆笑していました。あとやっぱり大村くんのギターソロにその日何度目か分からないメロメロをくらい、もう今日のは絶対ライブ盤出して売って。うーん、そうね、さ、三万円でも頑張るかもしんない。マジ。という気分。
 そういえば、大谷能生さんが欠席でなかったら[Catch 22]で生ラップが聴けたのかなあ…(指をくわえてよだれ)と思いつつも、菊地さんが菊地さんの声をスクラッチする。という実に哲学的な姿を見ることが出来たのでそれもまた最高。




 アンコール、なにか気持ちいいものに満たされている[Mirror Balls]のピースフルな音、誰もが汗を垂らして、このライブが終わってしまうことを惜しんで、それでも笑う。数え切れぬリズムの渦潮に巻き取られ、すべての人に開かれた踊りがみちびく歓声には、もはや性差も母語もなにもありません。
 「このたいへんな緊張状態のときに…。」とMCで菊地さんがおっしゃっていましたが、アフロポリリズムとか相模原アンダーグラウンドのラッパー集団(ほとんどがミックス)とかメタルの王子さまとか東大卒のわけわからん(笑)サックス奏者とか初音ミクとか、そんなケイオスの要素をたずさえてここに来たDCPRGが、一時であろうともそれを解決することを、一番よくわかっているのはあなたでしょう。と、見つめてみても、返ってくるのは最高の余韻ばかりなり。またすぐにやってきて。どこへだって観に行くから。われわれの病は、もはやこの幸福な混乱によってしか癒せない気がするんです。

<公式による2012日比谷野音の映像>
見どころは、田中教順くんのドラムソロ時、持ち場を離れてふらふら~っと教順くんを見やすい位置に移動したのがばっちり映ってしまった千住くん。


BGM

1. Twist & Shout - Captain Funk
2. Playmate At Hanoi - Date Course Pentagon Royal Garden(Musical From Chaos収録。いわゆる一期版。)

2012年10月1日月曜日

The BirthdayツアーVISION@清水SOUND SHOWER arc.ライブレポート

バユウスケが食べ物だったら、どんな感じなんだろう。

あんまり肉料理っぽくはなく、ましてや魚料理でも、カフェで食わされるウサギのエサみたいな(cf.よしながふみ)ヘルシーなサラダでもない。「俺はロマンチスト。」って自分で言うぐらいだから、たぶん甘いもの、それも洋菓子で、ショートケーキ(クリームたっぷりに大ぶりのいちごがのっているスタンダードなもの)か、マカロン(着色料をふんだんに使ったカラフル。かつ、ちょい堅くて食べづらいもの)あたりが妥当なのかもしれません。そういえばピエール・エルメのマカロンを初めて食べたときはもうぶっ飛んだなあ、甘くてちょっと歯ごたえがあっていい匂いがして、あまつさえ可愛い。という四重苦。日本人以外にもあんな小さいものに、しかも食べ物に、あれだけの愛とフェティシズムを注げる人間がいるなんて、なんて官能。



 だいたいチバユウスケの書く詞って美味しそうな食べ物が出てこない(たぶん、彼はジブリを観ないんじゃないかと思います。一番好きな映画がゴッド・ファーザーじゃあね、ポニョは観ても怯えしかないな(笑))。たとえばアルバム「VISION」では、タンポポを食べて苦いと言うし、"彼女"はアイスクリーム食べかけで寝ちゃうし、チョコレートはキスの道具でしかありません。

 そういえば椎名林檎も食べ物に執着のない歌詞を書く人でした。彼女にとってかなりハッピーになってきたはずの東京事変でさえそうで、その"拒食症"はますます加速の一途をたどっていきました。ミュージックビデオもその症状に同調し、「新しい文明開化」では刄田綴色がジュースを吹くシーン、「空が鳴っている」でも美味しそうなブレックファストのうえに思いきり牛乳をこぼして放り出すシーンが使われています。

 いっぽうで、浅井健一なんかは「メロンソーダとチリドッグ」から始まる曲もあったりして、とっても美味しそうな食べ物を多く書いてくるので、ロック全体が拒食症というわけではなく、やっぱりこれは名古屋が食の街だからなのか、でも福岡だってうっまいものたくさんあるじゃんねえ。まあ、神奈川は…(笑)、ないね(笑)。だから食べ物への愛情というものは、個人の欲の資質によるところが大きいのでしょう。



 という話をはじめたのも、先日観たThe Birthdayのライブの熱量・カロリーがものすごく、演者はいったいどういうものを食べてここに立ってこんな演奏をしているんだろう、と思ったからなのです。いや、酒でしょ。ってそりゃあそうだろうけれど(笑)、それはロックだからドラッグみたいなものだろうし、いまやただの水分補給になっている可能性すらあるわけで、あんまり空想の余地がありません。

 かくいう自分も、その日は缶チューハイ(なんだか異常に甘かった。商品名は忘れてしまったのですが、あれは…子どもが飲んじゃうよ。ポテトチップスといっしょに。)とオレンジゼリーを半分食べただけで会場にいました。

清水は空が高くて広い。
あと人が少ない(笑)。
水SOUND SHOWER arc。静岡県は清水駅から徒歩で15分、20分くらい。会場にたどり着くまでにいろいろあったのだけれど、それはまたの機会にするとして、ミラーボールの沈黙するステージは思ったよりも狭く、そして近く、フジイさん側にいたわたしは鈍く光る黒いレスポールの傷までもがわかることに、開演前なのにも関わらず、すでに参りかけていました。

 始まったら、どれだけ近くで見ることになるのだろう、そんな期待とともに19時をわずかに過ぎたころ、メンバーが登場。フジイさんの髪と、その白いシャツがライトに照らされて発光する様子は、こんなに近いのにややもすると非現実的で、これは超高解像度の巨大なスクリーンに映し出された映像なのではないか。と頼りなげな気分を生み、それはチバユウスケの細い身体を見るとさらに強まって、ただ一方でおさえきれぬ興奮。
 そして演奏が始まれば間違いなくその音はCDではなく、生。で、目の前にいるのかどうかはいたってどうでもよく、すばらしい[SPACIA]にやられる。

 内容自体は、まだツアー二箇所目、ということもあって、フェスではやらなかった[PINK PANTHER]や[黒いレイディー]なんかはまだまだ面白くなるはず、という感じ。[LOOSE MEN]のギターソロはCDよりもさらに荒ぶっていて、煽りも含めてサイコー!でしたが、やはり「I'M JUST A DOG」からの楽曲の、がちっと4人が噛み合っている音がたまらなくいとおしい。

住宅街のスナックなど
しかし、[さよなら最終兵器]はさすが、本編最後の演奏だったけれども、客のノリも完璧。もちろん演奏も完璧。ということでたいへん気持ちよくアンコールへ突入。からの、Red Eyeはうわさにたがわぬ色気で、やっぱり生はこういうのっしょー。と、フェスに行ってもなかなか味わえない即興感&緊張感を堪能しました。チバ対フジイという構図、ジャジーかつ攻撃的な色合いに、たまらない気持ちになる。
そして、ギターソロやベースソロの際、メンバーを指で示すチバユウスケのどうよ?という満足げな様子に、ああ、そりゃやべえよ、あったりめーだろ、これを聴きにきてるんだよオマエ(笑)。とはとても言えないので、歓声で返しました。いや、次会うのが武道館なんてね、遠いなあ。でも、熟成されてるんでしょう。あと2ヶ月半。

 MC。チバ「こだまっていいよね」(客)「イェーイ」 チバ「こmkd…、こ、こだまで来たんだけどさ(笑)」がハイライト。最初、こだま。が、こども。に聞こえて、つまり、「こだまで/きた」が「こども/できた」という、「ここではきものをぬいでください」的なトリックに引っかかり、言葉にならないおどろき。というのをとくと味わいました。2秒後すぐ気付きましたが。(キュウちゃん「こだまは途中でいっぱい抜かれるんだよね~」)
あとはアンコール1曲目かな?「まだやるもん」という、文字にするとすごい(笑)、せりふを投げかけたチバユウスケ(44)は、やっぱり愛されてるなあー、これ、まえだあっちゃん(21)が言ってみ?おんなじ誕生日なのにえらい違いだぜベイビー。



[SET LIST]※途中かなり怪しい。

01. SPACIA
02. LOVE SICK BABY LOVE SICK
03. ROKA 
04. Buddy
05. Riot Night Serenade
06. LOOSE MEN
07. 愛でぬりつぶせ
08. PINK PANTHER
09. SHINE
10. 爪痕
11.泥棒サンタ天国
12.YUYAKE
13.KICKING YOU
14.黒いレイディー
15.ゲリラ
16.涙がこぼれそう
17.BECAUSE
18.STORM
19.なぜか今日は
20.さよなら最終兵器

encore.
01.Red Eye
02.READY STEADY GO

encore 2
01.ローリン

 帰りの新幹線、ぜんぜん美味しくない駅弁を(びっくりするぐらい美味しくない。美味しくなさが突き抜けていて、思わず「やっべー、このタイミングでこれかよ。サイコー(笑)」と興奮してしまった)平らげながら、ライブの熱を噛み締めて、東京へと向かいました。願わくばもう一回、武道館の前にライブハウスで観たいですね。