2013年11月10日日曜日

Hiatus Kaiyoteとは何者か? オーストラリアからのネオ・ソウルの使者②

<第2回 ハイエイタス・カイヨーティの考えること>

 アメリカの雑誌、The Wall Street Journalのネット版にHiatus Kaiyoteのインタビューが掲載された。Jim Fusilliというライターの書いた記事である。バンド結成時のエピソードや、メンバーの音楽哲学の一端が分かる内容で、記事自体は短いものの、彼らを理解しようとするときに役立つものだ。以下、翻訳。



Hiatus Kaiyote's Musical Mosaic
http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424127887324165204579031270867771770

 大量のプロモーションによってバンドの不出来さを覆い隠す時代に、オーストラリアはメルボルン出身のネオソウル・バンド、ハイエイタス・カイヨーティが称賛に値するものだとちゃんと分かるのは実に嬉しいことだ。
 彼らの音はしなやかで自信に満ち、ソウルやジャズ、フラメンコ、サンバ、西アフリカ音楽の豊かな土壌を感じさせる。ヴォーカルのナイ・パーム、ステージではナオミ・サールフィールドと名乗る彼女は、さまざまな特徴の混じりあった声を持っていて、エリカ・バドゥやネナ・チェリーほか、セクシーでメリスマティックな歌い方をするスティービー・ワンダーの系譜にある歌手のようにメロディをたわませて歌う。

 ハイエイタス・カイヨーティを結成するため、サールフィールド(ナイ・パーム)とベーシストのポール・ベンダーは、パーカッショニストのペリン・モスとキーボーディストのサイモン・マーヴィンを誘った。そして、四人の音は有機的に溶け合ったのだと、今月はじめに行われたセントラルパークのサマーステージで演奏する前に彼らは言った。「僕らはなにかが始まったことを理解したんだよ(ベーシストのベンダー)」

「決まったジャンルの音楽ではなかったわ」サールフィールドは言う。「異なるもの同士の影響があった
としても、それらが混ざり合って自分自身をつくる。集団的な視点がわたし達を定義するのよ。」

 オーストラリアのセッションミュージシャンであるマーヴィンは、ハイエイタス・カイヨーティのチャレンジのなかで
初期のリハーサルのやり方を見出した。そこでは譜面よりもむしろ感情がその方向性を決定するのだ。

 「僕は自分のアプローチの全てを変えざるを得なかった。」と彼は言う。「僕達は事前にやろうと考えたことをすることは決してなかったんだ。」

 彼らのデビューアルバム"Tawk Tomahawk"を録音する頃には、彼らはすでに自分達のグルーブを見つけ出していて、彼ら自身でアルバムをつくることを決めていたようだ。
 「僕たちは僕たちがほしい音を理解していたんだ」マーヴィンはそう話す。

 まるでバンドはリスナーを困惑させようとしているかのようだ。"The Wolrd It Softly Lulls"のリズムの交錯はサンバにルーツを感じさせる――サールフィールドがラップをはじめるまでは。"Mobius Streak"は、フライング・ロータスの実験的なエレクトロニカをフラメンコ・ミュージシャンが歌っているような曲である。一方、"Ocelot"は轟くシンコペーション・パーカッションが構築する曲だ。アルバムに収録されているいくつかのインストゥルメンタルのうち、
"Leap Flog"は、上質なエレクトリック・ジャズである。


 サマーステージで、ハイエイタス・カイヨーティは、ジャズとヒップホップをフィーチャーした歌手のホセ・ジェイムスと、影響力のある歌手でありギタリストのシュギー・オーティスの貴重な出演の際に、オープニングアクトを尖った岬の上で務めた。輝く陽光のもとで、バンドは、マイルス・デイヴィスの"In A Silent Way"のセッションのアウトテイクのようなサウンドで、ぬるぬるとした魚をつかむみたいなインストゥルメンタルの演奏を始めた。演奏は続き、モスはダウンビートと戯れることで、音に揺らぎを与えた。サールフィールドは、大きなギターをかき鳴らしつつ、無音をアクセントに使った。"Malika"のためにオペラ歌手のアシュレイ・グリーアが参加している。


 ライブの後、バンドはアメリカツアーを締めくくるためにブルックリン、アトランタ、ノースカロライナ州のローリーに向かった。彼らは2013年11月に三回目のアメリカを訪れることになっている。

 モザイク状に混ざり合った音楽性ゆえに、偏見のない現代の音楽ファンの範囲を超えたハイエイタス・カイヨーティの観客を絞ることは難しい。ベンダーは、それは良いことだという。「僕達は時代もインディーロックが好きな子どももプログレ好きの男もジャズオタクもメタリカのTシャツを着た野郎たちも皆が聴ける音楽なんだ。」
 サールフィールドの哲学はこうだ。"良い音楽なら、彼らはついて来る"「わたしたちの仕事は私たちの音楽が住むところを作ることよ。」

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